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韓国総選挙の惨敗と朴槿恵外交の行方

ニューズウィーク日本版 / 2016年4月27日 17時0分

 これと似た構図なのがミサイル防衛の問題だ。北東アジアの地政学的状況は、「ミサイル化」してきている。北朝鮮が核・ミサイル開発を進めているように、ドローンやロケット、その他の無人の空軍力の重要性が急速に増しており、空母や駆逐艦による抑止力だけでは不十分になり始めているのだ。



 日本と韓国が新たな脅威から自国を防衛するには、ミサイル防衛が欠かせない。ところが、韓国の左派は、米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)を配備することに反対してきた。

 左派は今回の勝利により、費用負担や用地提供を拒否することでTHAADの配備を阻止するチャンスを手にした。もし、それでも左派がそうした動きを見せなければ、慰安婦合意のケースと同様、ミサイル防衛に対して初めて超党派の合意が形成されたと見なせる。

 これまで韓国の左派は、北朝鮮に甘いという印象を持たれてきた。実際、左派の実力者である「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は昨年まで、10年に起きた韓国海軍哨戒艦「天安」の撃沈事件が北朝鮮によるものだと認めていなかった。

 左派が選挙で苦戦し続けてきた大きな要因は、安全保障問題で弱腰というイメージにある。北朝鮮が核実験とミサイル実験をエスカレートさせるなか、その傾向は一層強まっていた。

 しかし最近、左派は北朝鮮に対して厳しい姿勢を示し始めた。北朝鮮の核が脅威であることを認め、THAADの配備が必要である可能性も示唆している。このような軌道修正により、左派は有権者に相手にされるようになり、ようやく自らの強みである内政問題を武器に朴政権に挑めるようになった。

 こうして選挙で下馬評を覆す勝利を収めた韓国の左派勢力は、政府に待ったをかける力をどのように使うのだろうか。

[2016.4.26号掲載]
ロバート・E・ケリー(本誌コラムニスト、釜山大学准教授)


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