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低収入の教職に優秀な人材は集まらない

ニューズウィーク日本版 / 2016年4月26日 15時30分

【参考記事】大卒の価値が徐々に低下する日本社会

 総体的に見ると、教員の給与は決して高くない。「子どもに知識や技術を教える専門職なのに、普通の労働者より給与が安いとはいかがなものか」と考える人もいれば、「教員が扱っているのは専門的な知識ではなく、一般の労働者より労働時間も短い」という意見もあるだろう。

 2012年8月に公表された中央教育審議会答申では、教員を「高度専門職」とみなす方針が明言されたが、実際に教員が専門職かどうかについては議論がある。単純作業に勤しむ労働者ではないが、医師や研究者のように高度な自律性を認められた専門職と言い切るのははばかられる。そこで「準専門職(semi-profession)」という苦肉の表現も使われている。

 このような立ち位置の曖昧さが、教員給与の適正水準を測るのを困難にし、教員自身の心的葛藤の要因にもなっている。

 現行の教員給与を引き上げるべきだという意見もあれば、その逆もあるだろう。その議論の決着は、教員を高度専門職と位置付けるかどうかにかかっている。

<資料:OECD「Who wants become a teacher」、
    文科省『学校教員統計調査』、
    厚労省『賃金構造基本統計調査』>

≪筆者の記事一覧はこちら≫

舞田敏彦(武蔵野大学講師)


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