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トランプの新たな個人攻撃、「ヒラリーは夫の不倫相手の人生を破壊した」

ニューズウィーク日本版 / 2016年5月9日 16時0分

 米大統領選の共和党候補に事実上確定した不動産王ドナルド・トランプが先週末、民主党最有力候補のヒラリー・クリントン前国務長官に対する新たな個人攻撃を開始した。夫のビル・クリントン元大統領の不倫相手だった女性たちに酷い仕打ちをしたというのだ。

「ヒラリーは彼女たちの後を追い回し、人生をめちゃめちゃにした」と、トランプはオレゴン州ユージーンでの集会で言った。「ヒラリーは信じられないほど意地が悪く卑劣なことをやってのける。彼女は女性たちに恥ずべきことをした」

 ビル・クリントンの不倫問題にトランプが初めて言及したのは昨年12月。ホワイトハウスのインターンだったモニカ・ルインスキーとクリントンの情事は選挙戦の「格好の話題」だと言った。そして先週、共和党の対立候補だったテッド・クルーズ上院議員とオハイオ州知事のジョン・ケーシックが指名獲得レースから撤退すると、トランプは改めて、11月の大統領選本選の相手になる可能性が高いヒラリーに照準を合わせた。

【参考記事】現実味を帯びてきた、大統領選「ヒラリー対トランプ」の最悪シナリオ

 トランプは、具体的な例は挙げずに参加者にこう尋ねた。「ヒラリー・クリントンがビル・クリントンの不倫相手たちに何をしたか聞いたことがあるかい? それでよく人のことを女性差別だなどと言えたものだ。勘弁して欲しいよ、まったく」

 共和党内ではトランプを大統領候補と認めることに対する反発も根強く、先週も有力者や予備選の元ライバルたちが相次いで、大統領候補としてトランプを支持しないとか、大統領候補を正式に選出する夏の党大会を欠席するなどという発言が相次いだ。

「あの顔に誰が投票する?」

 トランプのこれまでの女性蔑視発言は有名だ。共和党のディベートの司会を務めたFOXニュースのアンカーウーマン、ミーガン・ケリーに女性差別を追及されたときは、「ケリーは生理中で機嫌が悪かったんだろう」と言った。共和党のライバル候補で、米コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)元最高経営責任者(CEO)のカーリー・フィオリーナについては「あの顔を見てみろ。だれが投票するだろうか」と言ったこともある。

【参考記事】トランプは、ヨーロッパを不安にさせる「醜いアメリカ人」



 それでいてトランプは「自分ほど女性を敬う男はいない」と自画自賛し、「たぶんこの国の政治の歴史上でもビル・クリントンほど女癖が悪い奴はいない」と言う。

 一週間前トランプは、ヒラリーが支持集めに「女性カード」を使っていると批判した。もし女性でなければ、5%の支持も得られないだろう、と。ヒラリーも反撃に転じ、CNNでトランプの女性蔑視を批判すると同時に、アメリカはトランプのような危険人物を大統領にするようなリスクを冒せないと言った。

 ユージーンの演説では、トランプはヒラリー・クリントンの副大統領候補として名前が挙がっているエリザベス・ウォーレン上院議員も標的になった。「ヒラリーはのろまなウォーレンと組むがいいさ。打ち負かすのが楽しみだ」

 ウォーレンはいつもの通り、ツイッターでトランプ批判を展開。「のろま」などという言葉使い自体が「弱い」と切って捨てた。

 

ミシェル・ゴーマン

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