キャリアを左右する「職場プロフィール」とは何か
ニューズウィーク日本版 / 2016年5月12日 20時34分
職場プロフィールは、本来のあなた自身とひと続きであるはずだ。多くの人は、職場での顔と、家庭など職場以外での顔は別であるべきだと思っているが、それは違う。前著でも指摘したように、あなたらしさはビジネスという戦いで武器になる。本来の自分と矛盾するプロフィールで働きつづけようとしても、いい仕事はできない。自分のことをよく知れば、自分がどういう環境でプロフィールを充実させ、成長できるのかがわかる。あなたのプロフィールと、あなたが組織に貢献できることを評価してくれる、職場や仕事を求めていくべきなのだ。
私は自分の経験をもとに、職場プロフィールを次の5種類に絞り込んでみた。
1 有能な兵士
2 イエスマン
3 反対屋
4 堅実な働き手
5 チーフ
自分がどのプロフィールに当てはまるかによって、責任のレベルや働き方、自己主張の強さ、いつ、どのように昇進するか、報酬にも影響が及ぶ。たとえば、「有能な兵士」と見られている人は、組織がぜひとも抱えておきたいと思うタイプで、一般に「イエスマン」や「反対屋」や「堅実な働き手」より高い給与を得られる。とりわけ組織のトップが強いリーダーで、リーダータイプやリーダーになりたい人を重視する場合にその傾向が強い。
逆に、トップが強いリーダーシップや自信を持たず、「自分のやり方に文句があるやつに用はない」というタイプなら、「反対屋」は評価されないことが多い。どんな職場環境にもさまざまなプロフィールが存在し、それぞれが役割を果たしている。
組織で重視され、評価されるプロフィールは経済情勢によって変わるので、入社時の経済状況はきわめて大きな意味を持つ。たとえば不況下では、ほとんどの組織が実行力と同時に柔軟性もある人材を求める。乏しい予算でも業務を遂行し、建設的で、不平を言わず、間違いについてとやかく言わない人間が評価されるだろう。創造性を発揮して業務を遂行できれば評価されるということだ。「やればできる」という積極性が必要で、こうすればできるかもしれないではなく、できない理由ばかり挙げるタイプは認められない。
一方、経済が堅調であれば、どんなプロフィールも受け入れられる。好況期の経営陣は、職場でさまざまなプロフィールを許容しやすくなるのだ。業績が順調で、リソースの制約がなければ、企業は新しいアイディアを求め、今までにないプロセスを試し、新製品の研究開発に予算を投じやすい。ビジネスが好調なら上司はできるだけ多くの意見を求めようとするから、「イエスマン」も「反対屋」も「堅実な働き手」も容認される可能性が高い。
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