オバマ広島訪問をアメリカはどう受け止めたか - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2016年5月31日 15時45分
ですが、リンボーがこうした発言をしたのは想定内ですし、冷静な語り口からは怒りや反発の激情と言うのは伝わってきませんでした。リンボーが冷静ということは、感情的な反発の拡散も限られているということを示しています。
もう一つ、アメリカの反対論で目立ったのは、元国連大使で、アメリカ史上最も国連を軽視していた、つまりは一国主義の権化のような存在のジョン・ボルトンでした。ボルトンは「ナルシストであるオバマの謝罪ツアーの一環」だとして、サウジ王室に頭を下げ、09年には天皇皇后両陛下に深々とお辞儀をし、そして今年はキューバに頭を下げに行った、その一連の「謝罪ツアー」だとこき下ろしています。ですが、掲載した媒体が「ニューヨーク・ポスト」という「タブロイド紙」であることが、この発言の限界を物語っているように思います。
結論から言えば、アメリカ社会はメディアを通じて、今回のオバマ大統領の広島訪問、そして広島宣言とも言うべきスピーチを正面から受け止めたと言えるでしょう。驚きや爆発的な感動はなかったかもしれませんが、受け止められたことは間違いないと思います。
それは反核というメッセージだけでなく、日本という国が親しい友人であることも含めての受け止め方だと思います。反対論はありましたが、どれも想定の範囲内だったと言えるものです。
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