トランプに「屈服」したライアン米下院議長の不安な将来
ニューズウィーク日本版 / 2016年6月3日 17時10分
だからライアンは、ほぼ中立に近いところで落ち着いた。「投票はする。だけれども......」
では今後ライアンはトランプと折り合いを付けられるのだろうか? ライアンは伝統的な「小さな政府」の信奉者で政府支出の削減を主張しているが、トランプは高齢者、貧困層への政府助成の削減には反対している。ライアンはTPP(環太平洋経済協力協定)など自由貿易圏の拡大を推進しているが、トランプは無条件で反対している。
トランプをどう弁護するのか
しかしライアンとトランプの最大の違いは、政治家としての気質だ。ライアンは自称「政策オタク」で、政策の概要だけでなく詳細についても神経が行き届いている。ライアンに同意できない部分があっても、その政策能力に対して疑問を唱える人物はいない。
一方、トランプは細かいことで汗をかく人物ではない。ロシアと取引をすると言うが、内容はよく分からない。カリフォルニア州の干ばつを終わらせると言うが、そのやり方は言わない。トランプは、ライアンが大好きな大統領の職務、つまり政策立案にはまったく関心がない。
その他のあらゆる違いはさておき(ライアンは小さな街の出身だが、トランプは違う。ライアンは筋トレマニアだが、トランプは面倒臭いからやらない)、今後の数カ月間、2人はうまくやれるだろうか?
今後はトランプが暴言を吐くたびに、支持者ライアンは記者にコメントを求められる。その時は、今週の支持表明と違って、慎重に文章を練る時間はない。
マシュー・クーパー
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