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旧来の銀行を激変させる「リアルタイムワーキング」

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月10日 16時42分

(左)集中ブース。1人こもって仕事をしたい時にはこうしたスペースを利用する。(右)オフィスの至るところに小さなキッチンスペースが配されている。

最上階のカフェテリアスペース。オフィス内の各所に「三角形」をモチーフとした造形が見られるのは、敷地そのものが三角形であることに由来する。

メイン動線の脇に「かまくら」のようにこもれる空間が点在する、2~3人用のミーティングスペース。

2階受付周辺の、来訪者向けスペース。待ち合わせ場所というより、来訪者が効率的に時間を使うためのラウンジと呼ぶ方が近い。

トップライトから日が降り注ぐ最上階。階段を使った上から下への人の流れができるよう、全社員が利用するITのヘルプデスクやカフェテリアなどが配置されている。

健康に悪影響を与えそうな事物はなるべく排除していく

 ウェルビーイング促進においても、同社は先端をいく。自然光と植物をふんだんに取り入れた建物内は、どの空間を切り取ってもフレッシュだ。天井、壁面の仕上げを廃したローコスト空間は「広さ」の演出に貢献する。

【参考記事】オフィスのウェルビーイングはすぐ始められる!

「まるでスタジオのように広々としているオフィス」とのマクモラン氏の評は、あながち誇張ではない。チルドビームシステム(冷暖房・空調設備)は世界最大級のものを設置。エネルギー消費量を抑制しながら、静かで新鮮な空気をオフィスに供給し続けている。

 ビジネスの中心、サザンクロス駅から100メートルという好立地も、意図するところは明快だ。

「社員には車の利用を減らし、公共の交通機関を使ってもらいたかったのです。1日3時間も車を走らせて通勤しなければならないとしたら、社員の健康にどれだけの悪影響があるかわからない。駅から歩いて45秒のオフィスを社員に提供できれば、彼らの生活は大きく変わるはずです」(マクモラン氏)

 ナショナル・オーストラリア銀行の新オフィスは、銀行特有の硬直的なワークスタイルを激変させるに足るものだった。組織が変化に対して寛容であれば、市場変化に対応できる可能性も増す。マクモラン氏は言う。「新オフィスの成功は『今』ではありません。本当の意味での成功を得られるのは、そう、今から15年後というところでしょうか」

創業:1893年
売上高:約192億4800万豪ドル (2014)
純利益:約52億9500万豪ドル(2014)
従業員数:42,853人(2014)
https://www.nab.com.au

コンサルティング(ワークスタイル):Calder Consultants
インテリア設計:Woods Bagot
建築設計:Woods Bagot

WORKSIGHT 08(2015.10)より

text: Yusuke Higashi
photo: Masahiro Sanbe

テラスに面した会議室。自然光と緑に囲まれた気持ちの良い空間。

2階の総合受付。ここにも三角のモチーフが使われている。

(左)カルダー・コンサルタンツのロジャー・マクモラ(右)2階のエントランスフロアには社員向けの託児所を設置。子連れで出勤するワーカーも多数いる。

※当記事はWORKSIGHTの提供記事です





WORKSIGHT


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