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バーチャルポルノの「親密さ」がポルノ体験を変える!

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月17日 17時0分

<今月ロサンゼルスで開催されたゲームショーに出展したバーチャルポルノの体験ブースは大人気。メーカーは、バーチャルポルノが表現する「親密さ」がポルノの常識を変えると語る>

 ハワイのリゾートのコテージで椅子に座って休んでいると、セクシーな裸の女性がオイルマッサージを始めた。マッサージはすぐにセックスへと発展。女性がよろこびの声を上げたところで、私はマズイと思って周囲を見渡した――もちろん、私は仕事中だ。この時、バーチャルポルノが受ける理由がよくわかった。

 今週ロサンゼルスで開催されたゲームショー「E3」の目玉は、バーチャルリアリティ(VR)の展示だ。なかでもバーチャルポルノを出展した「ノーティ・アメリカ」の人気には驚いた。同社のブースは会場内でも孤立した場所に設置されていたのに、バーチャルポルノを体験したい人々が数十人も列を作っていた。

【参考記事】バーチャル・ポルノがリアルな市場に:2025年の推計値は10億ドル

 同社の広報責任者イアン・ポールも、これだけの人が集まるとは予想していなかった。そもそもショーへの出展を許されたこと自体が「驚きだった」と、本誌の取材に語っている。

【参考記事】リアルなVRの時代がついに到来

 展示はノーティ・アメリカが過去数カ月に発売した様々なポルノビデオを編集したもの。デモに収録されている50本のポルノはすべてストレートの男性向けで、45分の物語になっている。カメラアングルは常に椅子やベッドに仰向けに横たわる男性の目線で、女性がすべての動きをする。また、ビデオの高い解像度を維持するために視界は前面180度の範囲に限られている。

「360度の画面にすると、前面の解像度が下がって粗くなってしまう」と、ポールは解説した。

 だがゲイポルノでは360度の視点が必要になるので、同社では今のところバーチャルのゲイポルノは製作していない。また男性ほどポルノを消費しない女性向けやレズビアン向けは、会員制の配信事業というビジネスモデルでは儲けにならないのでやっていない。

始まりはオキュラス・リフト

 また女性は男性ほどポルノを消費しないので、会員制の配信事業で運営している同社は、女性向けのポルノは作っていない。

 ノーティ・アメリカの製作チームがバーチャルポルノのアイデアを思い付いたのは、2014年後半に展示会でVR再生用のヘッドセット「オキュラス・リフト」を体験したからだ。「『これって酒を飲みながら何年も冗談で言っていたことだよね』とチームで話した。90年代前半から、バーチャルポルノのことを空想していた」



 オキュラス、サムスン、HTCといった複数のメーカーから、ソフト開発者向けのヘッドセットが入手できるようになり、同社はわずか6カ月でバーチャルポルノの撮影、編集、加工ができるソフトを開発した。

 出演する女優は、すぐにバーチャルポルノ特有の撮影に習熟していった。演じながら、常にカメラに接近してリアリティーを感じさせることを意識しなければならない。例えば、ノイズを立てたりカメラの近くで挑発的なしぐさをしたりすると、作品のクオリティが高まる。現在同社では、週に1~2本のバーチャルポルノを製作している。

 バーチャルポルノが、これまでよりリアルな(そして親密な)体験を提供することで、ポルノ配信は大きく変化すると、ポールは考えている。「二次元の映像で見てもすぐに気持ちが冷めてしまう。バーチャルポルノの鍵となる要素は、親密さを再現できることだ。この親密さがポルノ体験を変えると信じている」


スン・リー

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