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日韓「慰安婦問題」合意が生き延びている理由

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月22日 16時10分

 さらに左派の中には、韓国の最大の敵は北朝鮮ではなく日本だと言う人たちもいる。慰安婦問題は、日本によって植民地支配されていた1910年から45年に韓国人が味わった苦難を訴える「合言葉」となっている。



 最大野党「共に民主党」は中道左派の「国民の党」と協力して合意内容の変更や履行の阻止、ひいては破棄に動くかもしれない。何しろ合意は韓国の有権者に不人気なままだし、朴の支持率は低い。朴が来年末の大統領選を見据えて、政治的なご都合主義に走る恐れはある。

 ところが左派は今のところ、合意に対して反対の姿勢を見せていない。総選挙以来、韓国国会に目立った動きはない。今月7日の期限を過ぎても、主要人事でもめ続けている。だがそれだけでは、左派議員が日韓合意への反対意見を非公式にでも表明しない理由を説明できない。

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 沈黙は何かの暗示かもしれない。選挙以来、当選した野党議員が慰安婦問題に関して誰も声を上げていない。大統領以外で、この問題に言及した最も有力な人物は「共に民主党」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表くらいだ。金は日韓関係の改善を阻んできた問題の解決に期待を示し、合意を歓迎している。

 日韓合意がこれからどう転ぶかは分からない。過半数を割り込んだ与党はどんな法案も通しにくくなるだろう。果たして朴は、拠出金のための枠組み設置や、慰安婦像の撤去ができるのか。合意内容の変更や、履行を阻止する動きをかわすことはできるのだろうか。

 左派の沈黙は暗黙の承認とも受け取れる。もし左派が年内に行動を起こさなければ、彼らにとっては不本意かもしれないが、日韓合意は国民的な了承を得られたと言えるかもしれない。

[2016.6.21号掲載]
ロバート・E・ケリー(本誌コラムニスト)


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