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「民主主義ってこれだ!」を香港で叫ぶ――「七一游行」体験記

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月8日 6時12分



 日本でもおなじみ、尖閣諸島奪還を目指す保釣行動委員会のブース。活動費のカンパを募っている。



ショッピングも楽しい!(デモですが...)

 ヴィクトリアパークから色とりどりのブースを眺めながら約4キロの散歩はそれだけでも楽しいが、私にはもう一つお目当てがあった。それはショッピングだ。

 七一游行は参加団体にとっては資金集めのチャンスだ。たんにカンパを募るだけではなく、「**香港ドル以上寄付してくれた方にはグッズをプレゼント」という方式で、実質的なグッズ販売を行っている団体が多い。私は雨傘運動を取材したが、その時から香港政治グッズのデザイン性の高さにドはまりし、コレクターの道を邁進している。

 今回の戦利品の一部を自慢させていただきたい。



 雨傘運動のリーダー、ジョシュア・ウォン(黄之鋒)が参加する新政党「デモシスト」のトートバッグ。「ABCD」というスローガンは「梁振英長官下ろしだけではダメ。民主主義と自決を求めよう」の意。



 各国語で「資源配分に関する正義」と書かれているTシャツ。どの団体ブースで入手したかを忘れてしまった。



 パソコン用インナーケース。民主派政党の一つ、公民党のグッズだが、党名は書かれていない。公民党に限らず、ほとんどのグッズは組織名を書かずスローガンだけを書いているため、デザイン性が損なわれていない(ような気がする)。



 民主派の中でも急進的で、中国からの自立、独立を主張する「本土派」団体の一つ、本土力量のTシャツ。象棋(中国の将棋)をモチーフにした図案で、中国と香港の間には深い川があり、英語で「私を中国人と呼ぶな」、中国語で「私は香港人だ」とのメッセージが。象棋の中国サイド(左側)には「蝗」(イナゴ)の文字。とても外では着られないが、去年の売れ残りらしく激安だったために資料として購入した。

【参考記事】香港で起こった「革命」はなぜ市民の支持を失ったか



得票よりも世論の"香港式民主主義"

 そぞろ歩きしているだけで社会問題について知識を得られる。ついでに気になるグッズの買い物もできる。デモのルートは繁華街なので、疲れたら喫茶店やら甘味処に駆け込める。七一游行は政治空間であると同時にエンターテインメントの場としても高いクオリティを誇っている。

 もちろん楽しいだけではない。日本の参議院選挙がまさにそうだが、選挙というと論点は改憲や経済対策というビッグイシューに集中してしまうのが常だ。民主主義の本義は多数決ではなく少数意見の尊重である。香港最大の社会運動イベントである七一游行が少数意見のショーウィンドウとなっていることこそ、民主主義を体現しているのではないか。日本とは違う"香港式民主主義"がそこにはあった。

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