大胆FBで有名だったパキスタン女性が兄に殺された事件で、「名誉殺人」防止法案提出へ
ニューズウィーク日本版 / 2016年7月22日 17時20分
「こうした事例が重なって(法改正が)実現することになった。この成果は大変、感慨深い」と話している。
パキスタンの現行法の問題は、被害者の家族が加害者を「キサース・ディヤット法」という慣習法によって免罪できるところにある。現状、「名誉殺人」は被害者の家族に対する犯罪で、国家が裁く犯罪にはなっていない。
「『名誉殺人』では特に、被害者と加害者の家族は同じだ。家族が殺害を実行している」とハッサンは説明する。「家族は『名誉殺人』として申し立て、すぐに加害者を免罪する」
カンディールの殺害後、パキスタン政府は異例の介入を行っている。彼女の家族が「名誉殺人」を申し立てて兄を免罪する前に、国として殺人容疑で起訴したのだ。
保守化するイスラム社会
パキスタン人権委員会が今年発行した年報によると、昨年は1100人近い女性が親族の手で殺された。2014年の約1000件、2013年の869件と比べても増加している。
「イスラム世界は以前より保守的になっており、女性に対する態度にそれが表れている」とハッサンは言う。「女性の社会における役割、外見、行動、すべてが政治的な問題になってしまう。この傾向を変えなければ」
ハッサンは、パキスタンで見た最悪の名誉殺人の例として、1999年のサミア・イムラン(32)が、家族の依頼を受けた男に頭を銃で撃たれて死んだ事件を挙げる。イムランは暴力的な夫と離婚しようとしていたが、家族はそれを望まなかったのだ。
何も変わらなかった当時と比べると、今は大きな一歩を踏み出すときだ。
ルーシー・ウェストコット
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