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トランプ、NATO東欧の防衛義務を軽視

ニューズウィーク日本版 / 2016年7月26日 17時28分

 フロリダ州にはポーランド系が42万9691人、チェコ系が32万3210人、ウクライナ系が4万2754人、リトアニア系が3万8724人、スロバキア系が2万9714人住んでいる。さらに130万人ほどだ。



 また、ウィスコンシン州、インディアナ州、コロラド州、ノースカロライナ州、バージニア州なども、東ヨーロッパ系アメリカ人を数多く抱えている。

 こうした住民の多くは、まさにトランプが狙っている労働者階級の有権者たちだ。そして、トランプは知らないようだが、そうした有権者たちは皆、NATOに対して義務を果たしているのは東ヨーロッパの加盟国にほかならないことを知っている。東ヨーロッパの加盟国の多くは、ほかの同盟国と比べて国内総生産(GDP)に対する防衛費の割合が高い。また、アフガニスタンとイラクにおけるNATOとアメリカ主導の連合軍に対しても、自国の人口に不釣り合いなほど多数の部隊を派遣してきた。「これらの国々は役割を十分に果たしていない」というトランプの非難を耳にした彼らが気分を害するのはもっともな話なのだ。

 トランプはこれまでに、ヒスパニック系アメリカ人を敵に回してしまった。今度は、ポーランド系やチェコ系、ウクライナ系、リトアニア系、スロバキア系、そのほかの何百万人という東ヨーロッパ系アメリカ人を敵に回そうとしている。

 彼の発言は、外交政策で惨事を招くだけではない。内政においても大問題なのだ。

This article first appeared on the American Enterprise Institute.



マーク・ティーセン(米アメリカン・エンタープライズ研究所レジデント研究員)


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