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トランプには「吐き気がする」──オランド仏大統領

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月3日 17時20分

<トランプの連日の妄言に、フランス大統領が遂に苦言。口にこそ出さないが、トランプが世界の嫌われ者なのは周知の事実。終わりの始まりが始まった?>

 戦没者遺族を侮辱したドナルド・トランプについて、バラク・オバマ米大統領は2日、「大統領になるには嘆かわしいほど準備不足」と批判した。「不適格な」候補への支持をなぜ取り下げないのか、と初めて共和党指導部への批判にも踏み込んだ。

 だが、上には上がいる。フランスのフランソワ・オランド大統領は、イラク戦争で戦死したイスラム教徒の米兵士の両親を侮辱したトランプについて「行き過ぎた言動に吐き気がする」と非難した。

【参考記事】戦死したイスラム系米兵の両親が、トランプに突きつけた「アメリカの本質」

 先週フィラデルフィアで開かれた民主党全国大会でオバマが強調したように、今やトランプは世界の指導者の間でも嫌われ者だ。国際秩序の崩壊や経済の先行き不安、NATO(北大西洋条約機構)の揺らぎまで、何でも責任を押し付けるのに格好の存在だ。それでも、トランプ自身の「行き過ぎ」を先頭切って批判するには、あの髪型に月1万1000ドルを注ぎ込むオランドの厚顔さが必要だった。

 民主党全国大会で登壇したキズル・カーンは、2004年にイラクで自爆テロにあって戦死した息子の話をした後、イスラム教徒を入国禁止にすると主張するトランプに「憲法を読んだことがあるのか」と問いかけた。それに対しトランプは、侮辱発言を連発。大統領候補が戦死者の遺族を批判する前代未聞の事態に、民主党だけでなく共和党内からも非難が噴出している。

【参考記事】戦没者遺族に「手を出した」トランプは、アメリカ政治の崩壊を招く
【参考記事】この週末にトランプ陣営が抱え込んだ5つのトラブル

 オランドは会見で「(世界の)民主主義は危機に直面しており、より多くの人が権威主義に傾いている」と述べた。

「もしアメリカ人がトランプを大統領に選べば、フランスを含めた国際政治全体に影響を及ぼすだろう。アメリカの大統領選は、世界の選挙なのだから」


From Foreign Policy Magazine

シボーン・オグレイディ

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