尖閣沖、中国の狙い ── 南シナ海に学び東シナ海でも強硬路線
ニューズウィーク日本版 / 2016年8月10日 12時0分
尖閣沖における中国公船の不当な動きが活発化している。南シナ海問題では判決を無視して強気に出たことが成功したとして、東シナ海でも強硬路線を貫く方針だ。「攻めに出ろ」と指示したとされる習近平の真実を追う。
過去最多の中国巡視船
尖閣諸島の沖合で、過去最も多い中国当局の巡視船13隻が日本の接続水域に現れ、周辺海域には、中国漁船およそ300隻がいるもようで、海上保安庁は警戒を強めている。
海上保安庁はホームページで「尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況について」を発表した。
領海侵入を繰り返す中国側に対し、岸田外務大臣も外務省に中国の程永華・駐日大使を呼びつけ、抗議を表明している。
しかし程永華大使は「中国の領土で中国の船が活動することに、いかなる問題があるのか」と居直っている。
中国海洋局のウェブサイトにも「中国の海警艦船が8月7日に我が釣魚島領海を巡航した」と、堂々と書いている。
中国はなぜここまでの強気な態度を示すのか?
南シナ海における強気姿勢を東シナ海においても
その回答は、南シナ海における「盗人(ぬすっと)猛々(たけだけ)しい」とも言える強気姿勢により判決を逃げ切った中国の経験にある。これに関してはこれまで本コラムで数多く書いてきたので、ここではくり返さないが、ともかく強硬姿勢に出ることによって、徹底してASEAN諸国の一部をチャイナ・マネーで抱き込み、判決を逃げ切ったという中国にとっての「成功例」を、今度は東シナ海でもと考えているのである。
7月25日付の本コラム「中国空海軍とも強化――習政権ジレンマの裏返し」に書いたように、中央軍事員会は、徹底した空海軍強化の司令を出している。これまでは「(これでも)防御に留まっていたが、今後は積極的な攻撃に出る」ことを宣言しているのである。
「判決がボタンを押した」としているが、実はその前から「強硬路線」は決議されていたとみなしていいだろう。
だから2013年初頭にフィリピンによる仲裁裁判所への提訴を受けてからは、むしろ逆に次々と南シナ海に人工島を建設し、判決後はさらに強硬路線を貫き通した。
その背後には、習近平国家主席の指示があったと、香港の「明報」が報道している。
中共中央政治局会議で習近平が「行動を起こせ」
8月4日、香港の「明報」は、習近平国家主席がハーグの仲裁裁判所の判決が出る前に開かれた中共中央政治局会議で、「まず行動を起こせ! あとで言っても何にもならない」という趣旨の指示を出していたと報道している。
この記事に関連するニュース
-
「中国の公正かつバランスのとれた立場を高く評価」プーチン大統領、ウクライナ情勢への中国関与を歓迎
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月17日 11時46分
-
ウクライナ和平会議の開催支持 中国・習主席、プーチン氏に
共同通信 / 2024年5月17日 9時32分
-
なぜ共産党なのか?習近平氏の出した答えが「強い中国」 垂秀夫前駐中国大使が解説する「四つの視座」とは【中国の今を語る(1)】
47NEWS / 2024年5月16日 11時0分
-
台湾新総統就任目前、中国の軍事行動に警戒感増す 「台湾が勢力下に入れば…八重山には中国が直接の脅威に」仲新城氏
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月9日 15時30分
-
海洋紛争は対話で解決へ、中国軍制服組トップが表明 海軍シンポで
ロイター / 2024年4月22日 14時3分
ランキング
-
1「社会へ強いメッセージを伝える人に与えられる」“建築界のノーベル賞”プリツカー賞授賞式に山本理顕さん出席 日本人9人目の快挙
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月19日 11時13分
-
2イスラエル 政権内の亀裂深まる、戦時内閣メンバー・ガンツ前国防相 ネタニヤフ政権に戦闘終結後のガザ統治など行動計画要求「策定しなければ離脱」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月19日 12時27分
-
3ロシア、ハリコフ州でさらに1集落制圧=ウクライナ北東部、1万人避難
時事通信 / 2024年5月19日 8時26分
-
4イスラエル軍、ガザ北部ジャバリヤ侵攻「これまでで最も激しい戦闘」…戦闘員200人殺害と主張
読売新聞 / 2024年5月18日 22時7分
-
5敵前上陸「地上の地獄だった」 対ロシア渡河作戦、兵士ら証言
共同通信 / 2024年5月19日 20時8分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください