光と優秀な人材を取り込む「松かさ」型ラボ
ニューズウィーク日本版 / 2016年8月12日 19時33分
4階ラウンジスペースにあるカフェ。コーヒーを片手に談笑する姿がよく見られる。
研究エリア。ドライラボとウェットラボの機能変更は簡単に行える。
PET検査薬の製造に用いる「サイクロトロン」を所有しているのは、南オーストラリア州ではサムリが唯一。とはいえ、まだ開業して1年足らず。設備自体を世界トップレベルに充実させていくのはこれからの課題だという。サムリではむしろ、研究者が何より望む「研究に没頭できる」環境を提供することに主眼が置かれた。
「一番の成果は、コラボレーションと創造力を発展させるビルに、設備を1つにまとめられたことだと思います。自分たちの活動をサポートする必要な設備が整っていれば、研究者は満足するのです」(ゲオルギュー氏)
建物の構造からしてユニークだ。外壁と内部空間が独立しており、あたかも1つのオフィスビルを"殻"がすっぽりと包むような形状。松かさのかさにヒントを得たとされる窓からの自然光は、必要な分だけ空間の隅々にまで行きわたり、館内はどこも明るく開放的だ。空調も100%新鮮な空気を取り込んでいる。
「フラワーカラム」と呼ぶ放射状に広がる柱を使うことで建物を貫通する円柱を減らしたのは、研究室にあてるスペースを最大限確保するため。また柱がなければ部屋割りも研究内容に応じて随時変更可能。空間のフレキシビリティが向上したのである。
中央に集約された動線がコミュニケーションを促す
ゲオルギュー氏が言う通り、コラボレーションの促進も大きな成果だ。執務エリアと研究エリアを隔てるものはガラス壁1枚。危険度の高いウイルスを使用する実験にも耐えられる安全性を確保しながらも、フロアには常に活気が満ちる。「研究所」特有の、暗く閉じた空気とは無縁だ。
【参考記事】旧来の銀行を激変させる「リアルタイムワーキング」
4階のラウンジスペース。上の階から研究員が降りてきて、休憩にまたインフォーマルコミュニケーションを行っている。
(左)動線のメインとなる螺旋階段とエレベーターのそばにはちょっとしたキッチンがあり、研究員同士の偶然の出会いを演出する。(右上)インフラ・キャプタルプラン・ディレクターのミッシェル・ゲオルギュー(右下)主任研究員のマコト・カメイ
研究エリアと執務エリアの間には、ミーティングルームが設置されている。自然光が常に降り注ぐ気持ちの良い空間だ。
慢性疾患について研究するチームのスペース。ワーカーの多くは健康志向のためデスクを昇降させ、スタンディングの状態で働いている。
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