中国衝撃、尖閣漁船衝突
ニューズウィーク日本版 / 2016年8月15日 11時0分
以上、数多くあるコメントの中で、代表的なものを拾ってみた。
面目丸つぶれの中国政府
ほとんどのコメントは次から次へと削除されていってはいるが、中国政府としては面目丸つぶれである。
これ以上、ネットの炎上とコメントの削除の鬼ごっこをしていると、反政府運動へと広がりかねない。
「自国の民を守れない中国」
「結局、軍事力が弱い中国」
「軍事力があったとしても、制度と民度の弱い国は何もできない。それが中国だ」
「相手国が自国民を助けてくれても、潔く感謝できない中国。それが民度の低さを表している。」
こういったイメージが、爆発的に広がり始めていた。日頃から中国政府への不満を抱いているネットユーザーは、この機会を利用して、思いっきり「言論で」暴れまくろうとしていた。
そこで中国外交部は遂に観念して、日本への謝意を公の場で口にしたものと推測される。
中国の強硬策は、必ずいつか「自滅」をもたらす。
中国の浙江省杭州市で9月4日から始まるG20(20カ国・地域)首脳会談で中国が非難されないよう、つぎの一手に中国はいま手をこまねいている。経済問題を中心に据えて、安全保障問題からは目をそらさせるつもりだった。
だから尖閣問題で日本を威嚇し、南シナ海問題に関して中国包囲網が形成されないようにG20に備えていたはずだったが、中国漁船の衝突事故で、すべては水泡に帰したと言っていいだろう。というより逆効果となってしまった。
悪いことはできないものである。
いま中国政府内には衝撃が走っている。
日本はG20で、この漁船衝突事故を大いに活用した外交戦略を練るといいだろう。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
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