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1万7000人が殺され、今も殺され続けているシリアの刑務所はこんなところ

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月18日 19時18分


サイダネヤ刑務所で使われたとされる拷問方法 Amnesty International/Forensic Architecture



 収容環境は劣悪で、十分な水や食料、医薬品も与えられなかった。換気扇が動かなくなった翌日に、7人の収容者がたて続けに死亡したという証言もある。今回の調査で公表した1万7723人という死者数も、まだまだ実態を反映していないとシウフラーは言う。「拘束中に行方不明になった数万人を含めると、実際の死者数はもっと増えるはずだ」

【参考記事】死者47万人、殺された医師705人......シリア内戦5年を数字で振り返る

 アムネスティは元収容者の記憶だけを頼りに、サイダネヤ刑務所の全体像を映す3D画像を製作。初めて内部構造を明らかにした。「元収容者が経験した壮絶で恐ろしい状況を再現し実態を伝えることで、国際社会が結束して行動を起こすきっかけを作りたかった」とシウフラー。

 シリアの難民問題や北部アレッポでの激戦に国際社会の注目が集まる反面、シリアの閉ざされた刑務所内部で続く組織的な拷問や殺害が見過ごされているのではないか。そう懸念するシウフラーは言った。「いつか現在のシリアの状況を振り返った時、国際社会は収容施設から救えたはずの多数の命を見殺しにして、シリアの人々の期待を裏切った責任を思い知るだろう」

ルーシー・ウェストコット


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