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住民に催涙弾、敵前逃亡、レイプ傍観──国連の失態相次ぐ南スーダン

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月30日 18時44分

 ある女性は、ベッドの下に隠れていた子どもたち4人のうち、娘が腕を撃たれたときの様子をくわしく話してくれた。

 医療関係者によると、重症を負った結果、人工肛門用の排泄袋を使用することになった者も3人いたという。

 7月10日、第1PoCと国連基地の中核施設とその他を分ける有刺鉄線フェンスの近くで、破裂弾かロケット弾が爆発した。そのすぐ横には、母親と5人の子どもが座っていた。駆けつけた子どもの父親は、目にした光景に打ちのめされたという。「子どもたちは全員、意識を失っていた。誰が死んで、誰が生きているのかわからなかった」



 母親と4人の子どもは、一命を取り留めた。だが2歳になる末娘まで幸運とはいかなかった。爆弾の金属片が飛んできて、左耳の後ろから額へと貫通した。即死だった。

 7月10日の戦闘のさなか、国連キャンプ内の難民たちが恐怖に震えながら目にしたのは、第1PoC内のPKO部隊の隊員たちが、歩哨としての任務を放棄する様子だった。第3PoC内のエチオピア平和維持部隊は、戦闘が終わるまで持ち場に残ったが、基地居住者たちによると、第1PoC内にいた中国とネパールの部隊は、国連基地の主要区域へと撤退したという。「自分たちを守ってくれると信頼していた人々が真っ先に逃げた」と、ある年配の男性は語った。

 UNMISSのエリザベス・チェスター報道官は、PKO部隊に対して持ち場を離れるよう命令が下したことはないとしながらも、一部の部隊が集中砲火を受けて「避難した」可能性があると認めた。基地居住者によると、PKO隊員が持ち場を放棄した結果、十字砲火のなかで無防備な状態で残された多数の難民が、国連基地の中核施設に保護を求めたという。そこでは国連職員たちが、はるかに頑丈な建物のなかに避難していた。

有刺鉄線を乗り越えて

 女性と子どもたちはパニックになりながらも、有刺鉄線バリアをよじ登って乗り越え、中核施設に辿り着いた(多くの住民が、そのときに負った擦り傷や切り傷を見せてくれた)。第1PoCの居住者によると、バリアのひとつに穴が開いたため、何千人もの人々が何とか中核施設のエリアに入れたという。しかし、そこで彼らを待っていたのは、警棒を振りかざす国連の警官だった。屋内に避難するのを阻止されたと避難民は語る。

「青い制服を着て警棒を持った大柄の男たちに止められた」と、若い女性は言う。「結局、一晩中外で過ごした」

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