G20、日中関係は?――日露首脳会談で日本に有利?
ニューズウィーク日本版 / 2016年9月5日 6時30分
ロイター電によれば、オバマ大統領は国連海洋法条約を順守する重要性を強調したとのこと。またホワイトハウスが会談後に公表した声明によると、オバマ大統領は 「同盟国の安全保障への米国の揺るぎない関与」を強調したうえで、国際法、航行・上空飛行の自由などの原則を維持するため、米国が域内のすべての国と取り 組む方針をあらためて示したようだが、中国側報道は完全に無視。
まるで勝ち誇ったかのような習主席の顔と、任期わずかを残したオバマ大統領に憐憫の情を注ぐような「慈悲深い頬笑み」をクローズアップした。
G20で南シナ海問題などに関してアメリカを中心とした中国包囲網ができあがるのを何としても避けたかった中国は、まず第一の難関を、オバマ大統領を用いて乗り越えた感がある。
頑張りどころの安倍首相
さて、このコラムをアップしてからまもなく、日中首脳会談が行われるだろうから、あまり予測的なことは書けないが、しかし、こういった流れから考えると、ここは安倍首相の頑張りどころであると思う。
少なくとも、尖閣諸島周辺で領海侵入をくりかえしている中国公船の問題に関しては自制するように求めることと、偶発的な衝突を避けるために制定したはずの連絡メカニズムを実働化させるのを要求することは不可欠だろう。
なんと言っても日本の海上保安庁が中国漁船の乗組員の命を助けているのだ。ここで習近平が「でかい態度」を取ったら、世界の笑い者になるし、中国のネットユーザーがまた騒ぎ出す。
いずれにしても、中国はいま、日本を重視せざるを得ないところに追い込まれている。
イノベーションを中心とした経済問題を重点に置くことをスローガンに、まもなくG20 が開幕する。
5日午後の日中首脳会談が待たれる。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
≪この筆者の記事一覧はこちら≫
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
この記事に関連するニュース
-
日本の解き方 石破外交がみせた異様な光景 トランプ氏に会えず〝外された〟 中国・習政権と関係強化すれば日米関係が心配
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月23日 15時0分
-
石破外交〝大失態〟 各国首脳に座ったまま握手、集合写真欠席…「コパカバーナの夜明け」X投稿に「日本の夜明けはいつですか?」と批判
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月20日 15時30分
-
G20ブラジルで開幕 ウクライナ・中東巡り足並みに乱れ 首脳宣言採択は微妙な情勢
産経ニュース / 2024年11月18日 22時5分
-
ニュースの核心 トランプ氏と面会〝実現困難〟「石破外遊」リスク 拒否なら「信頼できない」との通告も同然 習氏には「日米関係にくさび打つ」絶好の相手
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月15日 15時30分
-
米中首脳会談 ペルーで16日開催 北朝鮮兵の参戦問題、台湾周辺も議論
産経ニュース / 2024年11月14日 9時30分
ランキング
-
1ミャンマー軍トップに逮捕状を請求 国際刑事裁判所の主任検察官「ロヒンギャの迫害に関与」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 20時47分
-
2レバノン停戦、市民に不信感も=「双方が違反する」と懸念
時事通信 / 2024年11月27日 19時55分
-
3米国が日本にミサイルを配備すれば対応する=ロシア外務省
ロイター / 2024年11月28日 0時33分
-
4中国で拘束の米国人3人解放 バイデン大統領の外交成果に
共同通信 / 2024年11月28日 0時23分
-
5トランプ新政権、「米国第一」推進の布陣…主要閣僚に忠実な顔ぶれ並ぶ
読売新聞 / 2024年11月28日 0時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください