alt-right(オルタナ右翼)とはようするに何なのか
ニューズウィーク日本版 / 2016年9月5日 17時10分
<米大統領選の中で、alt-right(オルタナ右翼)と呼ばれるもう一つの右翼・保守思想が注目を集めている。その思想は、既存の保守主義とどのように違うのか、どのように生まれたのか考える...>
現行の右翼・保守思想に対するオルタナティヴ
alt-right(オルタナ右翼)について日本語で読めるまとまった紹介がまだ無いようなので、私なりに書いてみることにした。政治学は専門ではないし、そもそも私の関心はalt-right全般ではなく前に取り上げた新反動主義だけなのだが、一応様々な文献を読んだり(ここしばらくアメリカのメディアはalt-right関係の記事を量産している)、alt-rightな人々が集う掲示板やチャット、Twitterのハッシュタグを覗いたりはしてみた。といっても、あくまで個人的な解釈と考えてもらいたい。
【参考記事】アメリカの「ネトウヨ」と「新反動主義」
まず、「alt-」rightというくらいなので、rightすなわちアメリカにおける現行の右翼・保守思想に対するオルタナティヴ(別の選択肢)がalt-rightということになる。一言で言えば、スタンダードなrightでは手ぬるい、と考える人々がalt-rightなわけだ。ちなみに、alt-rightというのは彼らが自分で名乗った自称(alt-rightの代表的論客の一人であるリチャード・B・スペンサーという人が名付け親だと言われている)であって、反対派が勝手に貼ったレッテルではない。
で、ここで言うrightとは具体的に言えば米共和党が現在掲げる保守主義である。米共和党の主張というのも時代によって相当変化しているのでなかなか一概に言えないのだが、ブッシュ(息子)政権以来のこの十数年くらいだと、大きく分けて3つの党派がせめぎ合ってきたように思われる。
1. ネオコンサバティズム(新保守主義)
いわゆる「ネオコン」で、アメリカでも「ネオコン」という略称のほうが通りが良い。「小さな政府」や経済的・個人的自由の称揚、大企業優遇、自由貿易やグローバリゼーション(もちろん移民も)の推進、そしてイラク戦争のような海外への(軍事行動を含む)積極関与など、米共和党と言われてすぐ思い浮かぶような政策はだいたいネオコン的である。ブッシュ政権でいわゆるネオコン人脈が要職を占めたこともあり、現在でも共和党の主流派においては、ネオコン的な思想が(かつてほどではないにしても)支配的のように思われる。
この記事に関連するニュース
-
焦点:歴史的選挙戦戦ったハリス氏、なぜ敗北したのか
ロイター / 2024年11月7日 19時9分
-
アメリカのZ世代の投票がトランプ復活阻止の鍵? 日本より選挙資金の透明性がないアメリカの若者にとっての大統領選挙
集英社オンライン / 2024年11月6日 11時0分
-
〈アメリカ大統領選〉トランプは「垂直」、ハリスは「水平」、好対照な支持拡大戦略。カギを握る激戦7州の行方
集英社オンライン / 2024年11月6日 7時0分
-
「トランプを支持する保守派は人種差別的だ」という批判は正しいのか? 彼らが大谷翔平のお辞儀を見て「日本の美」を礼賛するワケ
集英社オンライン / 2024年11月5日 11時0分
-
なぜトランプは共和党を乗っ取れたのか…「陰謀論を撒き散らす大統領候補」にアメリカ国民が熱狂する理由
プレジデントオンライン / 2024年11月4日 7時15分
ランキング
-
1ミャンマー軍トップに逮捕状を請求 国際刑事裁判所の主任検察官「ロヒンギャの迫害に関与」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 20時47分
-
2レバノン停戦、市民に不信感も=「双方が違反する」と懸念
時事通信 / 2024年11月27日 19時55分
-
3米国が日本にミサイルを配備すれば対応する=ロシア外務省
ロイター / 2024年11月28日 0時33分
-
4中国で拘束の米国人3人解放 バイデン大統領の外交成果に
共同通信 / 2024年11月28日 0時23分
-
5米連邦控訴裁、機密文書持ち出し事件巡るトランプ氏起訴の取り下げ認める…2つの刑事裁判が終了
読売新聞 / 2024年11月28日 4時5分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください