ワシントンで「毛沢東」国際シンポジウム――日本軍と共謀した事実を追って
ニューズウィーク日本版 / 2016年9月5日 18時53分
昨年11月に拙著が出版されたのちに、テレ朝のお昼の報道番組「ワイドスクランブル」や同じく午後早目のフジテレビの報道番組「みんなのニュース」の「ふかぼり」コーナーで扱ってくださった。少なからぬメディアが中国に気を遣い、中国の顔色を窺って足踏みしている中、これを取り上げて下さったのは非常に勇気のある行動で、尊敬している。
ただ、時間が15分ほどで短く、必ずしも十分にご説明することはできなかったかもしれない。
このたびの9月8日のBSフジLIVE「プライム・ニュース」では、基礎知識も含めてではあるが、2時間まるまる毛沢東の解説に注いでくれるらしいので、ワシントンDCでパワーポイントによって示す「客観的証拠」も、かなりお示しできるのではないかと思っている。時間帯も異なるので、より幅の広い視聴者に毛沢東の真相を知っていただく機会になるかもしれないと期待している。
中国が日本に突き付け続ける「歴史カード」こそ危険
中国は1989年の天安門事件と1991年のソ連崩壊以来、中国共産党政権の連鎖反応的崩壊を恐れて愛国主義教育を開始し、日中戦争中に日本軍と戦ったのは中国共産党軍だったとして、突然歴史を塗り替え始めた。今では反ファシスト戦争のために戦った軍隊の最先鋒として共産党政権・中国を位置付けるようになった。
その傾向は習近平政権になってから一層顕著になり、対日強硬路線を人民に見せつけている。
背景には、反日デモをされたら必ず反政府デモになっていくことを十分に知っているので、反日デモを起こさせないようにするためという保身が一つにはある。
しかし、それよりも習近平政権が怖れているのは、中国共産党が、実は「日中戦争時代に日本軍と共謀して中華民族を裏切り、それによって強大化したのだ」という事実を人民が知ってしまうことである。
だから必死になって言論弾圧を強化し、「日中戦争時代、いかに中国共産党が勇猛果敢に日本軍と戦ったのか」という虚偽の事実を、これでもか、これでもかと前面に押し出している。
それが日本に対して突き付けている「歴史カード」の正体だ。
しかし日本人の心理として、戦後70年も(反省を込めて)平和を守り、中国のために国民の血税から膨大なODA予算を中国に注いで中国の経済発展を支援してきたというのに、こういつまでも「さあ、歴史を反省しろ!」として「歴史カード」を突き付けられ続けたのでは、中国を嫌いになっていくのは当然だろう。このままでは、その傾向を止めることはできない。
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