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米大統領候補「アレッポって何?」

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月9日 15時30分

<史上最も嫌われる大統領候補同士の争いのなかでかすかな期待がもたれる第三極候補、「リバタリアン党」のゲーリー・ジョンソンが、ニュース番組で「アレッポって何?」と発言。放送後に釈明コメントを出したが、驚くべき無知ぶりを晒してしまった>(画像はMSNBCのニュース番組に出演したジョンソン)

「アレッポって何?」

 アメリカ大統領選に「リバタリアン党」から立候補しているゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事は、今週ニュース専門チャンネルMSNBCのニュース番組「モーニング・ジョー」の中で、そう発言してアメリカを仰天させた。

 司会者がジョンソンに対して、大統領に当選したらシリア内戦の激戦都市アレッポで続く人道危機にどう対処するか質問したときのことだ。

【参考記事】<解説>トルコのシリア越境攻撃――クルドをめぐる米国との確執

 アレッポでは今週、アサド政権軍が塩素ガス弾を投下して住民約100人が呼吸困難などの被害を受けたと、援助団体の告発があったばかり。先月には、反体制派勢力への空爆による瓦礫の中から救出された全身血まみれの5歳の子どもの写真が世界中に配信された。アサド政権、反体制派、そしてISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)が三つ巴で戦う内戦を、アメリカはもう5年も止められずにいる。

 そこで、司会者は聞いた。

「もし大統領に選出されたら、アレッポをどうするか」



 ジョンソンは聞き返した。

「何だって?」

「アレッポです」

「アレッポって何だ?」

「ご冗談を」

「いや」とジョンソンは答え、気まずい沈黙。

「アレッポは難民危機の震源地です」と、司会者は呆れて言い直した。

「ああ、その話か。シリアは大変な問題だと思う」



 しかし、時すでに遅し。「#WhatIsAleppo」のハッシュタグがたちまちソーシャルメディアを駆け巡り、ジョンソンを嘲笑した。

【参考記事】トランプとトランプ陣営、「移民演説」の解釈で大混乱

 政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の集計によると、世論調査の平均値で共和党の大統領選候補ドナルド・トランプは39%、民主党のヒラリー・クリントンは40%の支持と競っており、支持9%のジョンソンも勝敗を大きく左右しかねない。

 番組放送後、ジョンソンは声明を出した。「今朝までは、自分が『人道的』であることに何の疑いもなかった」こと、ボーっとしていて「アレッポ」が何かの略称かと思ったこと、大統領に当選したら「適切な人々」をブレーンに召集することなどを述べている。

「シリアの街の名前を全部知っているかと聞かれれば、答えはノーだ。アレッポを認識しているべきだったか、と聞かれれば、答えはイエスだ。その重要性を理解しているか、と聞かれれば、答えはイエスだ」

From Foreign Policy Magazine

モリー・オトゥール

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