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イタリアと日本国債の低金利に騙されるな

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月15日 17時42分

 日本とイタリアの国債が大幅に過大評価されている(金利がとても安い)現状は、この2カ国の経済の健全性ばかりでなく、世界の金融システムの健全性にとっても大きなリスクになっている。

また日本の大盤振る舞い

 国債の利回りが人為的に低く抑えられていれば、財政規律は緩み、財政運営は放漫になりがちだ。膨れ上がった借金はいつかは返さねばならないが、放漫財政はその時の苦痛をなおさらひどくする。

 日本政府は超低金利をいいことに、またもや大盤振る舞いをしようとしている。バラマキ財政を続ければ、それでなくても膨大な国の借金は膨れ上がる一方だ。

 イタリアでも超低金利のおかげで、政府は改革を先延ばしにし、銀行は不良債権の処理を棚上げにしている。財政破綻を避けるには早急に手を打つ必要があるのに、超低金利は麻薬のように現実を忘れさせる。

 世界の金融システムにとって、日本とイタリア国債の大幅な過大評価はとりわけ深刻なリスクになっている。日本とイタリアの公債の市場規模は、世界の債券市場でそれぞれ第2位、第3位の位置を占めているからだ。2国のいずれかがデフォルト(債務不履行)に陥れば、世界の金融システムに激震が走るだろう。

 現状ではこの2国は異常に低い金利で市場から資金を調達できているが、日本発、もしくはイタリア発の金融危機などあり得ないと思ったら、大間違いだ。

 ユーロ危機が勃発する直前の09年、ギリシャ政府はドイツとほぼ同じ低金利で市場から長期の借り入れができていた。それから3年足らずで、ギリシャは第2次大戦後最大級のデフォルト危機に見舞われることになった。

A version of this article was first published at Economics21.




Desmond Lachman


Desmond Lachman is a resident fellow at the American Enterprise Institute. He was formerly a Deputy Director in the International Monetary Fund's Policy Development and Review Department and the chief emerging market economic strategist at Salomon Smith Barney.


This article was originally published on FEE.org. Read the original article.







デズモンド・ラックマン(米アメリカン・エンタープライズ研究所研究員)


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