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南スーダンの国連部隊は住民の命を守れ

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月13日 17時0分

 南スーダンの「地域保護部隊」は、コンゴ(旧ザイール)の「武力介入部隊」ともまた違う。コンゴの部隊は軍事「介入」のための部隊であるのに対し、「地域防衛部隊」は南スーダン政府と協力して「文民の保護」にあたるのが使命だ。さらに「国連施設や市民が攻撃されそうな場合」には、速やかに応戦するよう命じられている。

 市民を標的にした攻撃に対しては、相手が誰であろうと武力行使に踏み切る権限が与えられたのだ。

 普段は優柔不断な安保理も、この点には珍しくこだわり、任務を妨害する者は許さないという立場を鮮明にした。外国の介入を嫌う南スーダン政府は、UNMISSへの妨害行為を続けている。それが地域保護部隊の展開に同意したのは、安保理の脅しに一定の効果があった証だ。

 小さな一歩だが、進歩の兆しだ。たとえ政治的な見せかけだとしても、市民に対する暴力は許さないという国連の意気込みがみえる。

目立つ中露の譲歩

 とりわけ際立つのは、安保理常任理事国のうち頑なに国家主権の尊重と不介入主義を主張し続けたロシアと中国も、南スーダンへの増派には拒否権を行使しなかった点だ。民間人に対して犯罪行為が行われている場合には、主権の尊重にも限度があることを中ロも認めざるを得なかったということか。

 国連は今も地域保護部隊が最大限に活動できるよう南スーダン政府と協議を進めている。安保理にとって本来の目的は南スーダン政府が許容できる合意内容を見つけることだ。もしそれが叶わなかった場合はどうするのか。アメリカのサマンサ・パワー国連大使は次のように述べた。

 国連決議は南スーダン政府と合意に至れなかった場合の代替策を明確に示している。制裁や武器禁輸措置など、決議に盛り込んだ手段を考慮することになる。

 国連は文民の保護という使命を真摯に受け止めているようだ。怠け者の役立たず、という汚名をそそぐためにも。



Emily Helms, PhD candidate in Government, University of Essex

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.


エミリー・ヘルムズ(英エセックス大学博士課程)


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