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ナジブ首相の足をひっぱるマレーシアのイメルダ夫人

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月18日 16時46分

不動産、ブランド、宝石大好きの首相夫人

 寄付の資金源に対し米有力誌が疑問を投げかけたロスマ夫人とは一体どういう人物なのか。外務省などの資料によると1951年12月10日にネグリ・スンビラン州クアラ・ピラーに生まれ、マラヤ大学で人類学、社会学を学び米ルイジアナ州立大学に留学して社会学、農学修士を得て帰国。農業銀行、不動産開発会社に勤務して1987年にナジブ氏と結婚した。夫ナジブ氏がマハティール政権で頭角を現し国防相、副首相、首相と政界の階段を上るに従い、夫人の贅沢志向も膨れ上がってきたという。



 9月14日の地元マスコミネット版にはロスマ夫人の写真が大きく掲載され、その写真に写る腕時計とイヤリングが拡大され「腕時計=250万リンギット(約61万7000円)、イヤリング=50万リンギット(約12万3000円)」との大きな見出しがつけられて報じられた。さらに米紙WSJの報道を引用する形で「最近数年間のクレジットカードの支払いが600万米ドルになった」「2008年から2015年までに洋服、靴、宝石をロンドンのハロッズ、ニューヨーク5番街のSaksなどで少なくとも600万ドルを支払っているその額と同じである」「この金額の一部には1MDBの資金が流用されている可能性がある」「夫人自身には定期的な収入はない」などと指摘して、ロスマ夫人にまつわる疑惑を報じた。そしてロスマ夫人のお気に入りブランドが「エルメス・バーキンのハンドバッグ」であるともNYTは伝えた。

 このほかにNYTはロスマ夫人には米ニューヨークにあるタイムワーナーセンターのペントハウス(約3000万ドル)、ロスアンゼルスのLAヒルズにあるマンション(約3900万ドル)などを含む約10億ドルの資産があるとも報じている。

夫唱婦随のスキャンダル、疑惑

 ナジブ首相が副首相時代の2008年6月にはネットニュースの編集者が「ナジブ副首相夫人のロスマ女史が殺人現場に居合わせた」と指摘、殺人事件への関与疑惑が浮上したこともある。しかし副首相側が政治的陰謀として全面否定したが、ロスマ夫人は警察の事情聴取を受けたとされている。

 また2015年8月には「首相夫人がマレーシア中央銀行総裁の追放を画策」などと人事への口出し疑惑を報じたアジア・センティネルの記者に対し「ロスマ夫人に対する48時間以内の無条件、自発的全面謝罪」を求める警告が夫人の顧問弁護士から出される事件も起きた。これは首相夫人の地位を利用して政治に介入しようとしたロスマ夫人を追及する報道に「過剰反応」を示したことで、逆に疑惑を深める結果となった事例だ。

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