ロシアの大型空母、アレッポ方面に派遣
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月21日 16時0分
<ロシア海軍の大型空母が地中海へ向けて航行中。ロシアはアレッポ空爆の「人道的休止」を宣言したばかりだが、空母の到着で空爆が激化するおそれも>(写真は17日、ノルウェー沖を航行中の空母アドミラル・クズネツォフ)
ロシア海軍で唯一実戦配備されている大型空母「アドミラル・クズネツォフ」など4隻の戦艦からなる船団が、地中海に向かっている。
この船団はロシア海軍北方艦隊の分隊として組織され、先週末に国営メディアで派遣が明らかにされた。今週19日にはノルウェー西部の都市ベルゲンの沖合を通過したことが確認されている。
空母以外には、原子力ミサイル巡洋艦「ピョートル大帝」と大型対潜艦「セベロモルスク」「バイスアドミラル・クラコフ」が加わっている。ロシアはすでに地中海に6隻の戦艦を派遣しているが、このうち3隻は揚陸艦だ。
アレッポ空爆に参加か
船団は2週間以内には地中海に到着する見込みで、これでシリア周辺地域でのロシアの攻撃力は強化される。ロシア政府は、反政府勢力が拠点とする都市アレッポを攻撃するアサド政権を支援しているため、空母の派遣でアレッポへの空爆がさらに激しくなるおそれもある。
【参考記事】ロシアの対シリア軍事介入はどこまで進むか
ロシアのショイグ国防相は19日、ロシア軍とシリア政府軍によるアレッポへの空爆を「人道上の配慮から休止する」ことを明らかにしたが、今後の情勢は不透明だ。
【参考記事】シリア停戦崩壊、米ロ関係かつてない緊張へ
NATO(北大西洋条約機構)の関係者は、ロシアには「公海上で作戦行動をする権利」はあるものの、NATO加盟国の近海を通過するロシア船団の動きは監視を続ける」と話している。さらに米ロが主導する停戦協議についても、「空母を伴った艦隊を地中海東部へ派遣するようでは、ロシアがシリア内戦の政治的解決に向けて協調することはとても思えない」と言う。
デイミアン・シャルコフ
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