六中全会、党風紀是正強化――集団指導体制撤廃の可能性は?
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月24日 16時0分
日本のメディアでは、六中全会で「来年の党大会の人事の駆け引きがあるだろう」とか、「来年の党大会への権力闘争と権力集中への布石」などと六中全会を位置づけている報道が散見される。前者に関しては中央委員会全国大会は投票をして決議するだけで、いわば「ハンコを捺す」会議でしかない。駆け引きは、その前にしっかりなされている。後者に関しては、「中国を高く評価し過ぎている」と言うことができよう。
習近平政権はいま、権力闘争などをしている場合ではないのである。
一党支配体制が崩壊するか否かの瀬戸際だ。権力闘争説は、実は、中国がここまでの危機にあることを隠蔽してしまう。これはある意味、中国に利することにもなる。なぜなら、そのように海外メディアが見ている間は、中国にはまだ権力闘争をするだけのゆとりがあり、一党支配崩壊の危機が見破られないという「煙幕」の役割を果たしてくれるからだ。
六中全会で何がテーマになるかに関しては、庶民に分かりやすいようにするためにイラストで紹介した頁があるので、これをご覧いただきたい。
「新形勢下における党内政治生活に関する若干の準則」の制定に関しては本稿の最後に述べる。
「中国共産党党内監督条例(試行)」の修訂とともに、簡単に言うならば「腐敗は党員、特に党幹部の日常生活の心構えから出てくるもので、ほんのちょっとしたことから私利私欲が芽生えるものだ」ということを説いて、自他ともに監督を強化して腐敗に手をつけないように心掛けよ、ということを謳ったものである。
これらは、2014年に6回、2015年に1回、2016年に4回と、何度も討議を経て意見調整をして終わっているので、六中全会では票決して「決議されました」というハンコが捺されるだけになっている。
決して「人事に関する駆け引きをする場ではない」ことを認識していただきたい。
ドキュメンタリー「永遠在路上(永遠に道半ば)」――元指導者らの監獄からの肉声と顔
六中全会における「従厳治党」のテーマを人民に浸透させるために、中央紀律検査委員会宣伝部とCCTV(中央テレビ局)の合作で「永遠在路上」というドキュメンタリーが放映されている。
「日常生活において、党の風紀を軽視していたために、ふと気が付いたら逮捕されるところまで来ていた」というのがメインテーマだ。
中国では裁判中の被告の顔や姿を平気でテレビで露出するという、実に残酷なことを実行している。世間から「顔」を隠しようもなく、自業自得とはいえ、それでも残っているであろう最後の自尊心を思い切り傷つけ大衆にさらす。死刑よりも終身刑よりも残酷な「刑罰」だと思うが、民衆はその「苦しみにゆがんだ顔」を見たがり、「絞り出す肉声」を聞きたがる。
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