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レストラン経営者「私はヒラリーの大ファンだ」

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月27日 11時13分

 息子が友人と一緒にウーバーに乗って目的地であるタイムズスクエア近くのファミリーレストランに着くと、降りた瞬間に待ち構えていた警官からIDとクレジットカードの提示を求められた。運転手が、乗車してきた黒人少年たちはクレジットカードを盗むなり犯罪的な手法でウーバーを利用したと疑い、車内から通報していたのだ(ちなみにウィルソンの息子は身長が非常に高く、16歳には見えない)。

「人種問題に理解がある大統領かどうかを考えると、トランプはむしろ私たちを分断しようとしており、人種差別をする側だ」と、ウィルソンは言う。「彼の言葉は毒されていて、その毒は私たちに向けられる。彼は人種差別主義者であり、性差別主義者でもある」

「クリントンのほうが、私たち国民を一体化できるチャンスがあると思う。彼女はマイノリティに対してより親身だし、そうしたコミュニティと関わりを持ってきたし、力もある。トランプが大統領になったら、彼の支持者は『自分たち』、つまり白人に属さない人々を堂々と標的にできるようになるだろう。アメリカは、そんな国ではないはずだ。私はアメリカ人として、トランプのような人間が大統領になる可能性があることを恥ずかしいと思う」

参考記事 芸人的にもアリエナイ、トランプ・ジョークの末路



 メキシコからの移民を「レイプ犯」と呼び、イスラム教徒に差別主義的な発言を繰り返すトランプは、非白人のマイノリティから見ればアメリカを怒りによってさらに分断させる存在でしかない。

 マイノリティ社会におけるトランプへの反感は支持率上でも明らかで、ピュー・リサーチセンターによる8月の世論調査によれば、黒人の85%はクリントン支持(トランプ支持はわずか2%)、ヒスパニックの50%がクリントン支持(トランプ支持は26%)だった。一方で、白人の支持率はトランプが45%と、クリントンの33%を上回っていた。

 黒人の間でのクリントン支持は、夫であるビル・クリントンが南部アーカンソー州出身の大統領として黒人社会との距離を縮め、「初の黒人大統領」と呼ばれるほど人気だったことも理由だろう。ウィルソンも、経済を好転させて黒人社会にも恩恵をもたらした元大統領の手腕を、妻であるヒラリーに期待していた。

 しかし、マイノリティからの支持がクリントンにとって確固たる強みになるかどうかは、蓋を開けてみないと分からない。すべては、マイノリティの有権者が実際に投票するかどうかにかかっているからだ。

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