トランプ「第3次世界大戦」発言の深層にあるもの - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月27日 17時0分
クリントンのやったコソボやソマリアへの介入、ブッシュのやったアフガニスタンとイラクでの戦争、オバマのやった「アラブの春」支持とその後の優柔不断......トランプの論法は、メチャクチャではありますが、その24年間の全ての「介入政策」について、それこそ「ちゃぶ台返し」しているわけです。
では、どうしてロシア頼みの政策が「偉大なアメリカ」になるのかというと、プーチンを操れる「俺様」の「賢い取引の才覚」が「グレート」という自意識過剰な妄想もあると思いますが、例えば「スター・ウォーズ計画」など軍事費を拡大しながら、一発の銃弾も撃たずにソ連と東欧圏を崩壊させたレーガンの「偉大」なイメージに自分を重ね合わせているのかもしれません。
問題は、アメリカの民意のある部分に「過去24年間の介入政策」に対して、「そこまで根深い不信」があるということです。仮にヒラリーが大統領になった場合でも、その「介入政策への不信」という世論の深層心理を見誤ると、政治的に大きな計算違いを起こす危険があります。
具体的には、世論の支持を取りつけないで強硬策に突き進んで立ち往生する危険、またその反対に、「世論の不信感」を払拭するために大きなギャンブルに打って出てしまう危険もあると思います。どちらにしても、この点については、トランプ現象を生み出したアメリカ世論の深層心理を甘く見てはダメだと思います。
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