「脳を鍛える」こともマインドフルネスの一種
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月28日 16時12分
脳についても同じことが言える。詳しくは『脳を最適化する――ブレインフィットネス完全ガイド』(アルバロ・フェルナンデス、エルコノン・ゴールドバーグ、パスカル・マイケロン共著、山田雅久訳、CCCメディアハウス)に書いたが、私が提案する「ブレインフィットネス」は体を動かすだけではなく、マインドフルネスでよく知られる瞑想(メディテーション)や食など、(1)身体面、(2)メンタル面、そして(3)社会的つながりの3つの柱からさまざまなアプローチで総合的に積み上げていくものだ。
【参考記事】脳を健康にするという「地中海食」は本当に効果があるか
――具体的には何をすべきなのか?
まず(1)身体面では有酸素運動をすること。心拍数を増やし、心血管運動につながるスキーやテニス、バスケットボールなどがおすすめだ。ただし、そこまでやる時間がないというのであれば、ちょっと速めのウォーキングでもいい。通勤・通学時にいつもより速めに歩くことは誰でもできるだろう。私自身、過去15年間でいろいろ試してみたが、クロスカントリーが一番いいと思っている。クロスカントリーをするために週2、3回ジムに通い、少しずつトレーニングを続けることが効果的であることがわかった。
(2)メンタル面でやることはやはり瞑想だ。ストレスを感じない人はいない。問題はただ漠然とストレスを感じていること。瞑想することで静かに自分に向き合い、自分のストレスの原因を探り、どのように自分がストレスを感じているかを突き止められるようになる。そうすれば、どうストレスに対処していけばいいのかがわかるようになる。
(3)社会的つながりとは、常に環境を変えるということだ。実は、転職するとまったく新しい環境への適応のために脳がとても活発になり、脳を鍛えることにつながる。とはいえ、脳を鍛えるために転職し続けるなんてことはできないので、同じ職場にいても常に異なるポジションや仕事を求め続けることが大切だ。それも脳を鍛えることになる。残念ながら私の母国スペインは非常に失業率が高いことが社会問題になっている。無職の状態は脳に停滞状態をもたらすため、長期化しないように常に自分を異なる環境にもっていくようにすることが大事だ。
【参考記事】コーヒー、アルコール、喫煙、肥満......脳によくないのはどれ?
――日本でマインドフルネスが欧米ほど流行しないのはなぜか?
日本は仏教徒が9割で非常に世俗的と聞いているので、それはおもしろい話だ。実は欧米でも、ヨガや瞑想をはじめとするマインドフルネスは宗教的なものとして取り入れられたわけではなく、心身を豊かにする健康法として取り入れられ、長年ブームになっている。もし、日本人が旅行ついでに寺社を訪ねる習慣があるなら、心を穏やかにしたり、自分を見つめ直す機会であったりと、それもマインドフルネスのひとつではないだろうか。
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