トランプ、大物コンサルに契約金未払い、寸借詐欺も
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月1日 17時51分
<米紙がスクープ。選挙コンサルのみならず、電飾屋からカーテン屋、弁護士に至るまで、請求を踏み倒すのがトランプのビジネスの「パターン」>
ドナルド・トランプ陣営が、契約した選挙コンサルティング会社から請求された費用を支払っていないことが、連邦選挙委員会(FEC)の記録で明らかになった。FECはホームページで、「Donald J. Trump for President, Inc」がこれまでに使った選挙費用のうち、76万6756ドル67セントを「係争中の借金」として記載している。月曜に米紙ワシントン・ポストがいち早く伝えた。請求したのはフロリダ州に本社を置く選挙コンサルティング会社「Fabrizio, Lee and Associates, Inc」だ。トランプ陣営は5月、この会社と共和党の選挙対策専門家トニー・ファブリチイオを新たに雇い入れていた。
トランプ陣営の広報担当者でトランプの顧問も務めるジェイソン・ミラーは、ワシントン・ポスト紙の取材に対し、「管理上の問題であり、内部で解決中」だと述べた。
これが「パターン」
トランプが業者や契約先に対して対価を払わず非難された事例は以前からある。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ側が全米の33州で訴えられた裁判記録や元部下などの証言を入手。電飾屋からカーテン屋、弁護士に至るまで、請求を踏み倒した実態を浮き彫りにした。これがトランプ流ビジネスの「パターン」だという。また米紙USAトゥデイは、トランプが経営していたアトランティックシティーのカジノリゾート「トランプ・タージ・マハル」で働いていた従業員のうち、賃金トラブルでトランプにだまされたと訴えている人が253人に上ると伝えた。
【参考記事】パックンが斬る、トランプ現象の行方【後編、パックン亡命のシナリオ】
トランプはUSAトゥデイの取材に対し、労働者に対価を支払わなかったこともあると認めたうえで、自身のやり方を擁護した。「相手の仕事の出来が悪かったり、最後まで終わらなかったり遅れたりすれば、当然その分は当初の代金から差し引く。国も率先して取り組むべきことだ」
こうしたトランプのやり方は、選挙集会でも健在だった。演説中に照明が落ちれば「会場使用料を払わない」と憤り、マイクの調子が悪ければ「こんなものにカネを払うな」と言い放つ。「カネを払う行為は正しい。だがこのバカなマイクみたいに仕事ができない奴らには、払うべきじゃない」とトランプは1月の集会で言った。「カネを払えばそれでおしまいという人々には厳しい態度で臨むべきだ。約束しよう、私はこのマイクの使用料は支払わない」
【参考記事】トランプの選挙戦もこれで終わる?「オバマはISISの創設者」
トランプ陣営に加わる以前から、ファブリチオは名だたる政治家の選挙戦を手掛けてきた大ベテランだ。共和党元上院議員のボブ・ドールが出馬した1996年の大統領選をはじめ、前テキサス州知事のリック・ペリーや共和党上院議員のランド・ポールが戦った共和党の予備選でも、選挙対策の専門家として迎え入れられた経歴を持つ。
ワシントン・ポスト紙は、トランプ陣営がファブリチオに対して雇用契約を開始した5月から9月までの間、冒頭の負債に加えて5万5300ドルの請求金額も支払っていなかったと伝えた。
ファブリチオ側は取材に応じなかった。
マックス・カトナー
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