日本人の「自信がない」は嘘、原因は「感染」にあり!?
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月2日 17時59分
「43 自信のあるコメディアン」では、著者のニュージェントではなく、実際にコメディアンとして活躍していたこともある人物(たぶん、あまり有名ではない)が、この項目のコーチとなっている。そうした項目は他にもいくつかあって、そのため項目ごとに詳細なテクニックやアドバイスが紹介されている点は、本書の特徴と言えるかもしれない。
そして、コメディアンの何が私たちに役に立つのかといえば――「人々を笑わせるためにステージに上がることほど自信を必要とするものはない。自分のことをとても面白い人だと期待している会場中の人を笑わせるのは、控えめにいってもぞっとする」(p.219)。たしかに。彼らのテクニックとは「OKじゃないけどOKになる(=OKじゃない状態になっても冷静でいる)」「ダメなところを真剣に考えない」など。なるほど。前者は、本来の能力とは切り離された自信を育てる秘訣であり、後者は、どんなときでも自信を見失わないためのヒントだ。
【参考記事】成長するには「失敗」に必要以上の注意を向けないこと
自信は感染する。自信のなさも感染する
もうひとつ、この本の面白いところは、ほぼすべてのページに、古今東西の偉人・有名人の名言が載っている点だ。ページ下の欄外部分に、その項目に合った(と著者が判断した)発言が引用されている。定番のソクラテスや老子に始まり、ピーター・ドラッカーからドナルド・トランプ、さらには、くまのプーさんまで。これらを眺めていると、「もっと自信のある人間になりたい」という願望が人類共通の永遠のテーマであることがわかる。
「自信は感染する。自信のなさも感染する」
――ヴィンス・ロンバルディ[アメリカンフットボールコーチ](1 自信の本質/p.10)
「自分にはできると信じれば、半分は達成されている」
――セオドア・ルーズベルト[第26代米大統領](26 自信がある人を真似る/p.138)
「チャンスがノックしてこなければ、ドアを作ればいい」
――ミルトン・バール[俳優](50 自信を共有する/p.260)
著者は、自信のなさを受け入れることが自信につながる、と述べている。自信に満ちた人というのは、自信がない部分について思い悩まない。なぜなら、「自信がない」もまた感情の状態にすぎないからだ。
日本人に関して言えば、この「自信がない」を少々受け入れすぎているように思う。ロンバルディの言うように、それが感染しているような気さえする。だから、もっと「自信がある」部分に目を向けてもいいのではないだろうか。著者は「本物の自信とは謙虚なものだ」とも言っている。謙虚さを重んじ、傲慢になることを恐れる日本人には、それこそが最大のヒントになるのかもしれない。
【参考記事】レジリエンス(逆境力)は半世紀以上前から注目されてきた
『どんなときも絶対折れない自分になる 自信の秘密50』
リチャード・ニュージェント 著
前田雅子 訳
CCCメディアハウス
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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