トランプが敗北しても彼があおった憎悪は消えない
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月4日 10時40分
トランプ支持者の集会は暴力的な発言が飛び交うストレス発散の場だ。多くの場合、ジャーナリストが血祭りに上げられる。取材陣は支持者たちに「売国奴」「破壊分子」などと罵声を浴びせられながら、警官に守られて柵で囲まれたスペースに入る。そして1時間か2時間、トランプの罵りに耐え、会場にみなぎる殺意に震え続けた揚げ句、再び警官に守られて柵から出て車に向かう。
これを見ても、トランプが言論の自由を脅かす存在であることは疑う余地がない。最も恐ろしいのは、トランプが大統領になったら、大衆の敵をつくり、憎悪をあおる彼の才能が別の犠牲者を生むことだ。黒人、イスラム教徒、ユダヤ人、女性などがターゲットにされかねない。
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たとえ選挙に敗れても、トランプがあおった不満や憎悪はなくならない。アメリカ社会に広がった毒素は再びポピュリズムの政治家に利用されるだろう。
トランプの支持者の間には「盗まれた」選挙への怒りがくすぶり続ける。しかも恐ろしいことに、この国では誰でも軍隊並みの武器を手に入れられる。
世界最大の政治ドラマの舞台で恥をかいたトランプは、今まで以上に支持者たちをあおり、熱狂的なトランプコールを求めるだろう。脚光を浴び続けるためなら、何だってやる男だ。
だがそれ以上に怖いのは、今から4年後にもっとしたたかで自制心のある「第2のトランプ」が登場し、トランプの見果てぬ夢をかなえることだ。
[2016.11. 8号掲載]
ロバート・E・ケリー(本誌コラムニスト)
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