「習近平・洪秀柱」国共党首会談――親中・国民党に逆効果
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月4日 8時19分
一般の民意調査は、どの団体が行なったか、あるいはどういう質問を設定したかなどによって結果が違ってくる。それを認識した上でいくつかの例を見てみよう。
まず1989年の天安門事件の指導者の一人であったウアルカイシ氏などが主宰する「台湾民意基金会」が9月27日に発表した民意調査の結果によれば、「67.4%が中国共産党に反感」を抱いており、「19.3%が中国共産党を礼賛」している。また「56%が台湾は将来的には独立した方がいい」と考えているという。
両岸問題に関しては、「70.8%が中国共産党のやり方は横暴だ」と答え、「10.8%が道理に合っている」と回答。「中国共産党は信頼できるか?」という質問に対しては「68.4%が信頼できない」と回答し、「16%が信頼できる」と答えている。
この結果に対して、ウアルカイシは逆に、「20%にも及ぶ者が、中国共産党を礼賛しているというのは信じられない」と嘆き、「中国共産党がどういうことをやる政党なのか、知らない台湾人がいる」として、実態を知らせなければと感想を述べている。
一方、国民党政策会の民意調査によれば、「和平協議を書き入れた国民党の党綱領」に関して、「賛成が51.5%」「反対が20.2%」という結果が出ており、国民党員および支持者だけを調査対象とすると、「82.5%が賛成」しているとのこと。
これを以て、「和平協議に関して、こんなに賛成者が多い」と国民党側は解説しているが、むしろ、国民党の中にも反対者がいることに驚くというべきではないだろうか。
この調査は国民党自身が行っているので、当然、「国民党に有利な結果」を誘導する要素が十分に入っているはずだ。だというのに、党内でも意思統一ができていないデータが出てしまっているのだから、政権奪還の可能性は薄いと考えていいだろう。
日本にできること
中共政権に最も反対していいはずの国民党がこのようでは、民進党に頑張ってもらうしかない。民進党が政権与党である限り、今般の「習近平・洪秀柱」党首会談に見られるように、中国にできることには限界がある。台湾の若者の意識が高いので、逆効果さえ招いている。
どうも日本では「このたびの国共党首会談は、習近平政権による蔡英文政権への牽制」という分析が多いようだが、積極的だったのは洪秀柱主席側で、習近平総書記は、蔡英文政権を牽制するほどには洪秀柱主席を歓待はしなかったと、筆者の目には映った。むしろ、「和平協議をしたいなら、政権を取ってから出直してこい」というものを感じたほどだ。
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