68年ぶりの超特大スーパームーン、11月14日に:気になる大地震との関連性
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月4日 16時5分
地球を回る月の公転軌道が楕円形であるため、通常よりも大きな満月が観測されることがある。この通称「スーパームーン」は今年3回あるが、なかでも今月14日のスーパームーンは、21世紀に入ってからこれまでで最大のサイズになることから、広く関心が寄せられている。
11月14日の満月は68年ぶりの大きさ
次のスーパームーンについては、NASAや日本の国立天文台のサイトに詳しい説明がある。国立天文台によると、「11月14日は月が20時21分に近地点(地心距離 約35万6千キロメートル)を通過し、南中時刻の少し前の22時52分に満月」になるとのこと。満月の瞬間の月の視直径は約33分30秒角で(角度の60分は1度に等しい)、今年最小だった4月22日の満月の29分24秒角よりも1割以上大きくなる。NASAによると、近地点の満月は、遠地点の満月よりも最大で14%大きく見え、30%明るくなるという。
また、14日の月と地球の距離は、1948年1月26日以来68年ぶりの近さになる。次にこれ以上近づくのは、18年後の2034年11月24日だ。
スーパームーンとは
「スーパームーン」は正式な天文学用語ではない。Wikipediaによると、占星学者のリチャード・ノール氏が1979年、雑誌への寄稿記事で「軌道中で地球に最接近(90%以内)した新月または満月。即ち、地球と月と太陽が直線上に並び、月が地球に最も接近した状態」と定義したという。
さらに、近地点に到達する前後1時間以内に満月または新月になり、通常のスーパームーンよりもさらに大きく見える現象は「エクストラ・スーパームーン」と呼ばれる。こうした満月はおよそ18年に1度の割合で観測されるという。ただし11月14日の場合は、近地点から満月までに約2時間半かかるため、これには該当しない。
月の引力が巨大地震の原因になり得る?
先述の占星学者ノール氏は自身のサイトで、巨大地震の前後にスーパームーン現象が起きている例を多数挙げて、スーパームーンが大地震を引き起こすと主張してきた(一例を挙げると、2011年3月11日の東日本大地震の8日後、3月19日にスーパームーンが起きている)。こうした主張に対し、スーパームーンと大地震を関連づける科学的な証拠は存在しないというのが、従来の科学者らの共通認識だった。
ところが今年9月、東京大学地震科学研究グループの井出哲教授らが、「巨大地震は、潮の満ち引きの原因となる月の引力が強くはたらく時に発生しやすくなる」という研究結果を英科学誌『ネイチャー』のオンライン版に発表した。同チームは、マグニチュード5.5前後の地震1万件以上と、潮の満ち引きを起こす力のデータを分析。すると、高潮の力がはたらいているときにM5.5クラスの地震が始まると、M8かそれ以上の巨大地震に発展するケースが多いことがわかったという。
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