トランプ「大統領」のエネルギー政策
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月10日 16時50分
・連邦管轄地域での(シェールオイル、ガスの)掘削が可能になるかもしれない会社を含め、石油ガス等エネルギー会社は勝者。
・(ノースダコタ州のシェールオイル生産の雄)Continental Resourcesの(実質オーナー、社長)Harold Hammはエネルギー問題のトップアドバイザーだったので、トランプ政権のエネルギー相最有力候補。
・カナダからメキシコ湾岸へのパイプライン建設プロジェクト(Keystone XL)を推進しているTransCanadaも勝者。2015年にオバマ大統領の拒否権で頓挫している同計画を、トランプは再び提案するよう求めている [但し、州内のことには連邦政府といえども関与出来ない]。
・イランの原油輸出増につながった核協議合意を批判しており、石油供給にも影響を与えるかもしれない [複雑な構造を持つ合意をひっくり返すことは容易ではないが、もし「禁輸措置」が復活するなら、増えた100万B/Dほどのイラン原油輸出分がなくなり、トレーダーたちの心配は消失する]。
アメリカだけでイランの原油輸出を抑えることはできない
さすがFT、良く分析できていると思うが、一点だけ容易に同意できないポイントがある。イラン核協議に関する点だ。
トランプは、TPP反対、NAFTA廃止等、アメリカ最優先=孤立主義を主張している。
イラン核協議を巡る問題は、多くの関係国を巻き込んでいる。アメリカだけでイランの原油輸出を抑えることはできないのは明白だ。
「オレ、知らんよ。お前たちだけで勝手にやってくれ」というのは簡単だ。だが、アメリカがイランを含む中東問題から手を引くということは、一種の無秩序を招来する。よく言えば、自由経済の原則が通用するようになる、ということだ。
その結果、どうなるか? 各当事者(産油国、大手国際石油会社等)が、自らの判断にのみ基づき生産を行い、将来のための投資を行うということだ。その結果、市場は激しく乱高下することになろう。
FTの見方と異なり、トレーダーを含むすべての市場関係者にとって、「心配」が増えるだけではなかろうか。
岩瀬昇
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
トランプがユダヤ系富豪から巨額献金される事情 タブーを破って米大使館をエルサレム移転
東洋経済オンライン / 2024年7月18日 16時0分
-
情報BOX:米大統領選の注目銘柄、結果が左右「勝ち組・負け組」
ロイター / 2024年7月18日 11時48分
-
情報BOX:関税引き上げや不法移民送還、トランプ氏「2期目」の公約
ロイター / 2024年7月16日 18時5分
-
イランの核武装への兆候か? イスラエルとの初交戦と大統領墜落死が示すもの
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月27日 12時40分
-
イランへのガス供給で覚書 ロシア政府系企業
共同通信 / 2024年6月27日 6時14分
ランキング
-
1米民主重鎮、決断を称賛=ハリス氏支持で対応分かれる―バイデン氏撤退
時事通信 / 2024年7月22日 9時50分
-
2パリ五輪、4355人を「脅威」として排除 仏内相明かす、大会の治安対策で
産経ニュース / 2024年7月22日 11時27分
-
3バイデン氏の決断尊重 英や独首相ら
共同通信 / 2024年7月22日 11時54分
-
4北朝鮮エリートの脱北ラッシュ、なぜ外交官なのか…海外生活で「目覚めた」
KOREA WAVE / 2024年7月22日 16時30分
-
5バイデン大統領、米大統領選からの撤退を表明 代わりの候補としてハリス副大統領を指名
日テレNEWS NNN / 2024年7月22日 3時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)