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トランプ政権で、対シリア政策はどうなるのか

ニューズウィーク日本版 / 2016年11月11日 15時30分

【参考記事】ロシア・シリア軍の「蛮行」、アメリカの「奇行」



独断的な指導力を発揮できる国はもはや存在しない

 「シリア内戦」への諸外国の干渉は、ロシア、イラン、トルコ、サウジアラビア、そして欧米諸国が19世紀的なパワー・ポリティクスを繰り広げて利害を衝突させることを特徴としている。ここにおいて米国は、ロシアと並ぶ主要な紛争当事国ではあっても、絶対的な決定権者ではない。

 シリアの混乱は、誰が米大統領を務めようと、こうしたゲームが続けられる限りは解消せず、またゲームのルールを変更する独断的な指導力を発揮できる国ももはや存在しない。イスラーム国の二大拠点都市であるモスル市とラッカ市の解放に向けた軍事作戦がイラクとシリアで進行しているにもかかわらず、「ポスト・イスラーム国段階」の安定的な政治秩序を思い描けないのはまさにそのためだ。

 オバマ政権は「人権」、「民主主義」、「化学兵器使用阻止」、「テロとの戦い」といったフレーズを駆使して、米国がシリア内戦を打開する能力を持たないことをある意味隠蔽してきた。「過激な発言」で知られるトランプ氏が、オバマ大統領と同様のレトリックやプロパガンダを駆使するかどうかはともかく、「新孤立主義」と称される彼の外交姿勢が、「シリア内戦」からの完全撤収という「劇的」で影響力のある決断をもたらすようには思えず、中途半端な干渉政策が当面続くと見るのが妥当だろう。


青山弘之(東京外国語大学教授)


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