有名キャスターをここまで脅していたトランプ陣営
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月18日 16時42分
ジャーナリストを脅すのはコーエンの常套手段だ。トランプの元妻イヴァナが過去のトランプの行為について「レイプ」だったと暴露した90年代の証言を、米オンライン誌デイリー・ビーストが見つけ出して報道すると、コーエンは「妻をレイプなんてできない」と一蹴し、取材していた複数の記者を脅迫した。「トランプ氏の名前が入る記事に『レイプ』という言葉を載せれば、お前らがこの世に生きている限り、生活をめちゃくちゃにしてやる。どん底からのし上がる方法は決して分からないだろう」
【参考記事】トランプ夫人のスピーチ盗用疑惑も 異常事態続出の共和党大会
コーエンは暴力的なメタファーもしくは暴力そのものをを好んで使う男だ。44歳の彼は、陣営内はもちろんニューヨーク中で、トランプの「闘犬」として知られている。映画『ゴッドファーザー』に登場するマフィアのヴィトー・コルレオーネの相談役トム・ヘイゲンになぞらえて、「トム」という愛称で呼ぶ人もいる。忠誠心が人一倍強い反面、逆上すると手におえないキャラクターだ。
以前ABCニュースのインタビューでコーエンは言った。「もしだれかがトランプ氏の気に入らないことをすれば、彼のために問題を解決するべく、力の及ぶ限り何でもする。もし相手が間違いを犯せば、俺は目の前までやって来て首をつかみ、用が終わるまで逃がさない」
コーエンは大統領選を通してトランプを猛烈に擁護していたことでも知られる。トランプから過去にわいせつ行為を受けたという女性らを指してセクハラを受けるような魅力的な容姿ではないとあざけったトランプの主張をそのまま繰り返した。「美しさは見る者が決めるもの。あの中に彼の目にかなう女性はいなかった。つまり、この話はでっち上げだということだ」
ケリーはニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、トランプ次期大統領が率いる新政権下の報道の自由を擁護する人にとって、彼女の経験は参考になると言った。
「トランプが私やFOXニュースに自分の思い通りの報道をさせようと執拗に仕掛けてきた今回の選挙戦は前代未聞で、潜在的な危険をはらんでいる」と彼女は言う。もしホワイトハウスの主になっても同じ行動を繰り返すなら、「かなりぞっとする話だ」
本当だとすれば、まるでギャングである。
ジェレミー・シュタール
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