トランプが暴言ツイートを再開させた「ハミルトン事件」 - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月22日 15時0分
という内容でした。場内からは、ディクソンに対するブーイングと、ペンス次期副大統領に対するブーイングが起きたそうですが、これに対してディクソンは「ブーイングするようなものは何もありません。この作品は全てが愛について書かれたものです」という「切り返し」をやって喝采を浴びたそうです。
考えてみれば、ディクソンの役は「バー副大統領」であり、それが「次期副大統領」であるペンス氏に対して「忠告」するというのは、なかなか「粋な」趣向であったとも言えます。
ところが、このエピソードにトランプが「噛み付いた」のでした。ツイートで「次期副大統領がハラスメントを受けた」として「謝罪を要求する」と発言、しかもこれを繰り返したのです。
一方でペンス自身の方は「何も不快なことはありませんでした」と述べているのですが、この種の「不一致」というのは、選挙戦の間もずっとあったもので、特に驚くには値しません。
当事者のペンスは「何も問題ない」としているのに、トランプ次期大統領の怒りは収まらないようで、「このミュージカルは過大評価されている」とか「私の支持者はこの『ハミルトン』の観劇はボイコットすべきだ」などと発言しています。
【参考記事】「トランプ大統領」を喜ぶ中国政府に落とし穴が
しかし、そもそもミュージカルのチケットは2017年の半ばまで「売り切れ」になっているのでボイコットのしようがないとか、反対に民主党支持者が殺到して人気が過熱するだけなどというリアクションも出る始末です。
当選が決まってからのトランプは、俗に言う「プレジデンシャル(大統領的な)」な振る舞いを続けてきたわけですが、ここへ来て「暴言モード」が復活しているというのは、どういう訳なのでしょう?
単にガマンができなくなったということかもしれませんが、もしかしたら「コアのファンの期待」に応えないと彼等が離反するという懸念から、計算の上での行動なのかもしれません。そう考えると「オルタナ右翼」のバノン次期戦略担当補佐官あたりが、仕掛け人という可能性もあります。
ですが、こんなことを続けていては、いつまでも「大統領らしく」は見られず、中道層を含めた支持率は上昇していかないでしょう。次期政権の骨格作りにおいては、人事面も重要ですが、こうしたコミュニケーションスタイルをどう確立していくかという問題も大きいように思われます。
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