不安定化する東南アジアと朝鮮半島、中国の朝貢体制が復活する?
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月26日 11時0分
外交は主権国家同士の平等関係ではなく、「どちらが中国の恩寵を受けているか」という朝貢体制、「どちらが大きく強いか」という事大主義に基づく。
その韓国は今、米中両国の間で小突き回されている。米軍が北朝鮮のミサイルを迎撃するTHAAD(高高度防衛ミサイル)を配備することに対し、中国が強く反発している。折悪しく、朴槿恵(パク・クネ)大統領が友人に機密情報を渡すなどの便宜を図っていたことが判明し、大統領も議会も機能を停止した感がある。
朝鮮半島と東南アジア情勢の液状化は、中国に有利に作用し得る。アメリカのトランプ次期政権がアジアで手を緩めると、中国は朝貢体制を復活させてしまうかもしれない。
ただ皮肉なことに中国自身、近代への跳躍に失敗しつつある。大量に流入した外国資本によってインフラ建設を膨らませて、成長を演出するモデルは限界にある。これからの発展は、国有企業の民営化に成功するか、集権経済から市場経済に移行できるかどうかに懸かっている。
【参考記事】ゴルフ場に墓石を使うトランプは中国と似ている
日本はどうか。企業の活力を再生し、国際化を成就できるか。「匠の技」といったモノづくり依存の経済から、知財重視の経済にうまく移行できるのか。そして村社会を引きずるポピュリズムから脱して、近代的法治を確立できるかどうか。
日本もさらなる近代への跳躍を求められている。その上で、日本周辺の情勢が液状化しても国内の自由と繁栄を守る備えを固めておかねばならない。
河東哲夫(本誌コラムニスト)
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