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影響力を身につけるには有名人に「便乗」すればいい

ニューズウィーク日本版 / 2016年11月30日 16時27分

 もうお気づきかと思うが、この話のポイントは「強要より誘惑が効果的なときもある」。追いかけ回して無理やり話を聞かせるのでなく、自然と話を聞く気になってもらうのが理想的な状態だ。あなたの「ミルクを入れた皿」は何か。人々を誘惑して引き込むために、あなたは何をできる?

インセンティブを提供する

 相手が人間でも「皿にミルク」のアプローチが使える。食べ物や飲み物で釣るのは、古い手だが効果的だ。私はよくランチタイムにセミナーなどを開催するが、参加者が最も多いのは無料のサンドウィッチを用意したとき。それでかまわない。何に惹かれて来たのであろうと、私は気にしない。オーディエンスがいる限り。サンドウィッチのために来た人が講演の内容に驚き、次は私の話を聞くために来てくれたら、うれしいことだ。

 インセンティブはほかにもある(ただし札束は除く)。たとえば、仕事やプライベートで役立つ何か。オンラインの場合、「個人的な達成+利便性」が効くだろう。最小限の時間で十分な情報を与え、人間の基本的な欲求(カネを稼ぎたい、時間を節約したい、痩せたい、幸せになりたい)を満たす助けになれれば、オーディエンスはついてくる。

【参考記事】ポジティブ思考信仰の危険な落とし穴



スリルを駆使する

 当然ながら、オーディエンスには大きな価値を提供したい。そう願うあまり、人は時に「質」と「量」を混同する。プレゼンの際、疑問点がないようにと詳細や補足を盛り込んだり、必要かどうかを考えずに顧客にアラートメールを山ほど送ったり......。

 ディケンズに学ぼう。ヴィクトリア時代を代表する作家である彼は、作品をまとめて読ませなかった。彼の小説は連載や分冊の形で発表された――月に1度、あるいは週に1度、小分けにして。この形式は、期待を高めるうえで絶大な効果があった。読者はわくわくして次の回を待ち、最新エピソードの発表は一大イベントになった。

 教訓――オーディエンスが欲しいなら、隠せ。1時間半かけて一度に話すのでなく、40分ずつ3回に分けて話そう。答えをすべて教えず、相手に自分で考えさせよう。謎によって興味をかき立てよう(このパラグラフにもある意図的な誤りを隠しておいたが、気づいただろうか?)。私が最も影響力を感じる話し手の一部は、自然なやり方で謎をかけられる。だからこそ彼らは、よくあるアドバイスどおりに「これから何を話すかを話し、それを話し、何を話したかを話す」人より聴衆の心を動かす。

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