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トランプが財務相に選んだムニューチンの「貧困層いじめ」疑惑

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月1日 16時50分

 ムニューチンがソロスとどの程度親しかったか、そもそも付き合いがあったかどうかは不明だ。



 ムニューチンは2004年に独立して、自身のヘッジファンド「デューン・キャピタル・マネジメント」を設立。ブルームバーグ・ニュースによると、「ソロスが何億ドルも出資した」このファンドは、少なくともトランプの2件の開発事業(ハワイのワイキキとシカゴのプロジェクト)に投資している。

3)民主党に献金

 政治資金監視のNPO「民意を反映する政治センター」の調べでは、ムニューチンは2008年の大統領選でヒラリー・クリントンとバラク・オバマ、2004年にはジョン・ケリー、2000年にはアル・ゴアと、民主党の候補に多額の献金をしてきた。議会選でも多数の民主党候補に献金している。

 一方で、2012年の大統領選でミット・ロムニー陣営を支援するなど、数人の共和党の政治家にも献金しているが、12年以前の民主党候補への献金額のほうがはるかに多い。

『アバター』を製作

 今回の大統領選と議会選では、上院議員選挙に出馬した民主党のカマラ・ハリス(カリフォルニア州)に2000ドル、共和党全国委員会に1万ドル、トランプ陣営に2700ドルの献金を行い、今年5月からはトランプ陣営の財務責任者として資金集めに奔走した。

4)ハリウッドに進出

 ムニューチンは映画のプロデュースを手掛けるデューン・エンターテインメントを設立。その後、映画監督のブレット・ラトナー、実業家のジェームズ・パッカーと組んで、社名をラットパック・デューン・エンターテインメントと改称した。

 同社は世界で28億ドルの興行収入を稼いだ『アバター』をはじめ、『アメリカン・スナイパー』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『X-MEN』シリーズなど多数のハリウッドのヒット作を製作している。

5)ワンウエスト銀行問題

 トランプは破綻した銀行を買収して再建し、その後の売却で多額の利益を上げたムニューチンの手腕を高く評価している。だが、議会での指名承認手続きでは、民主党にこの点を追及されそうだ。

 トランプはムニューチン起用の理由をこう語った。「彼は(カリフォルニア州の住宅金融大手)インディマック銀行を16億ドルで買い、プロのやり方で経営を立て直し、34億ドルで売却した。我が国の顔となる私の政権には、まさにこういう人物が必要だ」

 ムニューチンは09年に投資パートナーと共同でインディマック銀行を買収。社名をワンウエスト銀行グループに変更し、CEOに就任した。ワンウエス銀行に対しては、市民団体が強引な差し押さえや融資差別などに抗議して当局に調査を要請し、多数の訴訟も起きている。ムニューチンらは15年にワンウエスト銀行をCITグループに売却した。

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