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内モンゴル自治区の民主化団体が東京で連帯組織を結成した理由

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月3日 10時0分

 49年、中華人民共和国成立の数日前になって、共産党は「米帝国主義の侵略が迫っている」との口実で、自決を撤回して自治権のみを諸民族に与えると決定。実際には諸民族が主体となる自治ですらなく、漢民族による「漢治」でしかなかった。

 クリルタイが会場に東京を選んだのは、大日本帝国がかつてモンゴル人の居住地に満州国と蒙疆政権を樹立したから。モンゴル人は旧宗主国である日本の関与を求めている。



中国大使館の「官製抗議」

 東京の麻布にある中国大使館はその動向を察知。日本にいる中国人留学生を使って、議員会館前で抗議の声を上げさせた。彼らが掲げた「過激な民族主義は日中友好の障害」との横断幕を見れば、中国の矛先はモンゴル人よりも日本側に向けられていることが分かる。

 モンゴル語で「議会制」を意味する「クリルタイ」という言葉は古くからの歴史を持つ。紀元前の匈奴時代から、さまざまな思想や主張を持つ部族長が草原のテント内に円座し、身分の上下を超えて平等に議論し合ってきた。モンゴルだけでなく、アフガニスタンで各民族の有力者を集めるロヤ・ジルガ(国民大会議)もその一形態だ。

 狭量な思想で他者を排除するのではなく、いつでも議論の場に加われる、開かれた会合――。モンゴル人はそうした伝統を生かしながら、中国政府との対話を呼び掛けている。

[2016.11.29号掲載]
楊海英(本誌コラムニスト)


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