トランプ-蔡英文電話会談ショック「戦争はこうして始まる」
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月5日 16時59分
【参考記事】蔡英文新総統はどう出るか?――米中の圧力と台湾の民意
だが共和党議員の一部は、電話会談の実現はトランプの大胆なリーダーシップの賜物だと持ち上げた。「台湾はアメリカの盟友。次期大統領がそのことを世界に知らしめるのは何も悪くない」と、インディアナ州選出の下院議員ルーク・メサーは米政治専門メディア「ザ・ヒル」で語った。「共産主義の残忍な殺し屋が政権を握るキューバと国交を回復したオバマの判断を賢明だと称えていた人々が、台湾を認知したトランプを批判する光景は皮肉でしかない」
ノースカロライナ州選出の下院議員(共和党)マーク・メド―は、「政策ではなく、ただの電話」と発言し、台湾総統との会談自体が大した問題ではないとの見解を示した。トランプの選挙対策本部長だったケリーアン・コンウェイは、トランプが米政府の中台政策について「十分に認識」しており、「今後も関連する問題についてしっかり情報説明を受けて十分な見識を保持する」と述べた。
ドゥテルテを招待
今回の騒動を受けて、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は、米政府の政策に変更はないと強調するなど火消しに追われた。ネッド・プライス報道官は「中台関係をめぐる長年の政策に変更はない」とする声明を発表した。「米中間の3つの共同コミュニケに基づく『一つの中国』政策を堅持する」
蔡英文との電話会談に加え、オバマ政権に対して強硬姿勢をとってきたフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領を来年ホワイトハウスに招待したことが明らかになったことで、今後のトランプのトップ人事にますます暗い影が差している。トランプは2日も、軍人出身で「マッド・ドッグ(荒くれ者)」の異名を取るジェームズ・マティスを国防長官に任命したばかり。今回の騒ぎの尻拭いをさせられるのは、米ブルームバーグが駐中国大使の候補に挙がっていると伝えた、アイオワ州のテリー・ブランスタッド知事(共和党)かもしれない。
ニコラス・ロフレド
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