ソーラー発電と無線LAN、電気自動車充電スタンドを兼ね備えた次世代「街灯」
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月13日 12時20分
<通信、環境、エネルギーに配慮した"スマートシティ"への取り組みが、世界各地で広まっている。太陽光発電、蓄電、通信、電気自動車用充電を統合させた次世代インフラが開発中だ>
情報通信技術や環境技術などを駆使して電力を有効に活用し、環境に配慮した都市モデル、すなわち"スマートシティ"への取り組みが、近年、世界各地で広がってきた。米ニューヨーク市では、2015年9月、スマートシティ化を推進するための指針『Building a Smart + Equitable City(スマートで公平な街の構築)』が公開されたほか、2016年8月には、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が「2030年までに州内の再生可能エネルギー比率を50%とする」との方針を明らかにしている。
このような動きを受けて"スマートシティ"化に向けたソリューションの研究開発もすすめられている。ニューヨークで2015年に創設された『Totem Power(トーテム・パワー)』は、独自のスマートユーティリティ『Totem(トーテム)』の開発に取り組むスタートアップ企業だ。街灯を兼ねたこのユーティリティには、5キロワットの発電能力を有する太陽光発電システムと蓄電容量44kWhのバッテリーシステム、電気自動車の充電スタンドが装備され、太陽光で発電したエネルギーを街灯や電気自動車に利用する仕組み。4GとWiFiの通信サービスのハブとしての機能も備えている。
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『Totem』は、太陽光発電、蓄電、通信、電気自動車用充電を統合させた機能性の高さが特徴だ。都市でのエネルギーの安定供給を支え、自然災害などの緊急事態にも対応できる自律型インフラとして、公園や公道といった公共空間、企業のオフィス群や大学のキャンパスなどで需要が見込まれ、2017年夏には実用化される見通しだという。
いわずもがな、現代人の経済的、社会的、文化的活動には、エネルギー、通信、モビリティが欠かせない。それゆえ、スマートシティ化に向けて、これらの分野にまつわる様々なインフラの整備や改良が求められている。『Totem』は、次世代の持続可能型インフラへの未来をひらく先進的な事例といえるだろう。
松岡由希子
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