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独裁者からポピュリストへ「反知性」が世界を導く

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月14日 11時0分



暗殺計画を招く名演説?

 カストロのような独裁者と今のポピュリスト政治家とには大きな違いがある。過去の独裁者らは自らの思想を体系化し、それなりに自由主義世界と論陣を張ったが、現在のポピュリスト政治家には思想が見られない。

 スターリンには膨大な量に上る全集があり、世界各国で翻訳されている。毛も負けずに全集を出し、庶民層にも広げようとする。分かりやすい『毛沢東語録』を訳して「革命思想」として24カ国に輸出した。カダフィ大佐も『緑の書』で自らのカリスマ性を演出。彼の女性親衛隊員らがその著作を愛読するシーンはセンセーショナルだった。

【参考記事】バレンタイン監督が駐日大使に? トランプ政権人事の発想はまるで野球映画

 カストロは毛たちほど筆まめではなかったらしいが、長時間の演説がそのカリスマ性を支えてきた側面がある。「今日は短めに終わる」と毎回のように冒頭で述べて笑いを誘い、そして聴衆を引き付けていく名演説は宿敵のアメリカの大統領ですら正面から反論できず、CIAの暗殺計画を黙認するしかなかったと言われるほどだ。

「親愛なる兄弟に哀悼の意を表する」とローマ法王(教皇)フランシスコは語り、「中国人民は親密な同志を失った」と習は弔電を送った。日本の安倍晋三首相も「革命後の卓越した指導者」だったと高く評価。果たして今後、ポピュリスト政治家らはカストロ亡き後の世界をどこへ導いていくのだろうか。

[2016.12.13号掲載]
楊海英(本誌コラムニスト)


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