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南アフリカの取引合法化はサイを救うか

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月17日 11時0分



ヨハネスブルク郊外で世界最大のサイ牧場を営むヒューム Deon Raath-Foto24-Gallo Images/GETTY IMAGEES

 取引が合法化された場合、どんな結果になるか確かなことは分からない。しかし、象牙の例でみれば不吉なデータがある。

 ワシントン条約締約国会議は、アフリカのいくつかの国に対し、08年に100トンの象牙の1回限りの取引を認めた(売却先は中国と日本)。象牙はサイの角と同様に、同条約で国際取引が禁じられている。

 これがどのような結果を招いたか。個別のエピソード以上のデータはないが、取引許可を機にゾウの密猟がエスカレートしたといわれている。需要が刺激された上、違法な象牙を合法と装って取引しやすくなったためだという。象牙の売却許可が発表された直後、密猟は66%、密売は71%増加したとされる。

 サイの場合は、これに輪を掛けて悲惨な結果が待っている可能性がある。サイの角は象牙と違って、(実際の効果はともかく)「薬」として消費される場合が多く、需要を満たすためには生産(採取)を続けなくてはならないからだ。

「貯蔵されている角の在庫が底を突いた後、大量生産ができなければ、密猟業者が参入してくる」と、カリフォルニア大学バークレー校のソロモン・ショーン准教授(公共政策)は言う。

 南アフリカのサイを取り巻くジレンマはあまりに大きい。

[2016.12.13号掲載]
レイチェル・ヌワー(科学ジャーナリスト)


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