世界が放置したアサドの無差別殺戮、拷問、レイプ
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月19日 20時0分
アメリカの次期大統領がドナルド・トランプに決まったことも問題を一層複雑にする。アサドは今、ロシアがあらゆる国際法や慣例に反してアレッポ東部を焼き尽くすのを黙認している。旧ユーゴスラビアやルワンダの虐殺で行われた「人道に対する罪」に対する反省として、国連は1999年、「武力紛争下における文民保護」を決議した。それにも関らず、国際社会はその責任を積極的に無視したのである。ロシアが好きだと公言し人権もお構いなしのトランプの参入で、事態はどう変わるのだろう。
シリアの民主化運動を支持し育成することに失敗したのは悲劇だ。だがそれに続いた内戦を終わらせるために有効な手段を打たず、アサドに戦争のルールを守らせることさえできなかったのは、また大きな別次元の倫理観の崩壊を示している。
アサドの勝利によって、国際社会はいずれ自分の首を絞められることになるだろう。われわれの世代は昔を振り返り、なぜ人はナチスの台頭を許し得たのだろうと疑問に思う。その答えは、シリアにある。そして歴史の審判は、決して人類に優しくはないだろう。
From Foreign Policy Magazine
ルラ・ジュブリアル
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