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この冬忍び寄る鳥インフルエンザの猛威 韓国は史上最悪の事態に

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月20日 20時5分

 これをうけて韓国政府は16日警戒レベルを史上初めて、最も高い「深刻」レベルに引き上げた。

 ここまで拡大が広がったのには、防疫体制に問題があるからだと韓国MBCが伝えている。高病原性鳥インフルエンザが確認された飼養農場の3キロ位内には拠点消毒施設を必ず設置しなければいけないのに、一部の自治体は設置をしなかったり、書類上、防疫対策本部を設置したと虚偽報告をしている例もみられたという。また、感染発生地域に出入りする車両についても、入るときと出るときの2度消毒施設を通らなければいけないというルールも徹底されていなかったという。消毒施設自体も24時間体制で稼働させるべきものを、自動車の交通量が少ない深夜には稼働していない例もみられた。

 また政府の動きも日本に比べると遅かったことも指摘されている。日本では先月29日夜9時に新潟県で感染判定が下され、その2時間後には首相官邸に対策室を設置。翌4時37分には自衛隊が殺処分作業に動員されたが、韓国では感染が確認されて5日後に関係省庁の次官会議が開催されるという状態だった。



 家きんの10%以上が殺処分となった韓国では、家きん農家だけでなく社会的にも大きな影響が出ている。一番大きな問題は卵が入手困難になっているということだ。卸売り価格が2.5倍に、小売りのスーパーなどでは1人1パックだけという販売制限も行われている。また、韓国の国民食キンパ(韓国海苔巻き)では卵の使用量を減らしたり、大型のベーカリーでは従業員全員が個人的に卵を買って材料を調達するなどしている。菓子メーカーなどは毎日取引先に電話をかけて卵の確保につとめているが、それでも通常の半分にも満たないため、「このままでは日本から粉末卵を輸入するしかない」と語っている。

 一方、日本でも影響が出ているところがある。例年ならばはこの時期、動物園などで干支の引き継ぎ式などが行われるが、来年は奇しくも干支が酉年。今年は多くの施設でイベントを中止したり、鳥舎を閉鎖したり、野生の水鳥が立ち寄らないように池の水を抜くなどして対応している。

 この冬アジアでは日本、韓国のほか、インド、香港、台湾などで高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されており、このうち香港では人への感染も確認された。これからも関係者にとっては緊張の日々が続きそうだ。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


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