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大韓航空パイロットがスト 元凶は高給で引き抜きをする中国?

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月23日 7時0分

 なかでも中国と中東の航空会社の成長はめざましく、中国の航空市場は年平均5.5%の伸びを示しており、2029年には世界最大の旅客市場になると予想されている。一方の中東では、経済制裁が解除されたイランを筆頭に新型機の発注ラッシュとなっており、これから優秀なパイロットを海外から迎え入れようとしている。

チャイナマネー、オイルマネーが空を飛ぶ

 こうした状況で韓国の航空業界はパイロットにとって好待遇を用意できていないのが実情だ。例えばキャリア15年の機長の手取り年俸は一般に1,500万円前後といわれる。しかし、中国の航空会社では、年俸2,000〜3,000万円を提示して引き抜きをしているという。こうした"チャイナマネー"によって、昨年は韓国の航空会社から海外の航空会社へ転職したパイロットのうち、実に9割が中国を選んだ。こうした事態に対抗策をとりたくても、大韓航空、アシアナ航空は、資本に対する負債比率がそれぞれ917%と715%という状態。これではいい人材をつなぎ止めるためにベースアップはしたいものの、無い袖は振れない、というのが会社側の本音だろう。今のところ大韓航空の経営陣とパイロット労組双方の主張の隔たりは大きく、妥協点をどこに見出すせるか、交渉の先行きは見えない。



 民間航空に関する国際的なルールや技術の制定を行うICAO(国際民間航空機関)によると、2010年ではアジア・太平洋地域の航空業界にいたパイロットは5万人、それが2030年には23万人が必要になるだろうという。大韓航空の抱える問題は、韓国に限った問題ではなく、日本の国土交通省も2030年前後に現在活躍しているベテランパイロットが一斉に退職することから年間400人もの新規パイロットが必要になるだろうと予測して対策を検討している。

 今、仁川空港や金浦空港に掲示されているストライキによる欠航便の案内ポスターが、近い将来日本の航空会社によって羽田や成田に張り出される可能性があることも肝に銘じておいた方が良さそうだ。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


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